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【欧州サッカー】ポステコグルー監督を解任したトッテナムの不安を英国人記者が指摘 高井幸大は負傷が癒えればチャンスはあるか (2ページ目)

  • ジョン・ブルーウィン●文 text by John Brewin 井川洋一●翻訳・構成 translation by Igawa Yoichi

ノースロンドンで好まれる"輝かしきフットボール"

 また、彼らの出身地、韓国でのプレシーズンツアー中に行なわれたニューカッスル・ユナイテッド戦で、攻撃の核のひとり、ジェームス・マディソンがひざの靭帯を断裂。さらに5月にひざを手術したデヤン・クルセフスキも、復帰時期が不透明だ。

 ウェストハムから加わったモハメド・クドゥス、バイエルンから移ってきたマタイス・テルに期待がかかるも、いきなり彼らと同等の働きを求めるのは酷だろう。

 つまり、日本時間14日早朝に予定されているUEFAスーパーカップに先発するトッテナムのメンバーは、昨季ヨーロッパリーグを制した時のチームと大きく変わっているはずだ。戦い方も、ポステコグルー監督の頃とは異なるに違いない。

 プレシーズン、フランク新監督は4-2-3-1を用いたものの、陣形は昨季のチームよりコンパクトに。香港でアーセナルを下し、ソウルでニューカッスルと引き分けたまではよかったが、欧州に戻った後の最後の強化試合でバイエルン・ミュンヘンに0-4と大敗している。大量失点で敗れることが少なくなかったポステコグルー時代を思い出させる内容だった。

 とはいえ、両者には大きな違いがある。最大の相違のひとつは、セットプレーだ。ポステコグルー前監督がFKやCKを苦手としていた反面、フランク新監督はもっとも早くセットプレーを入念に磨き上げたトップレベルの指導者のひとり。指揮官は言う。

「セットピースは自分が得意としているものであり、その重要性は日に日に高まっている。監督はそれぞれに信じるものが違う。客観的に見て、昨季のトッテナムはハイプレスに特長があったと思う」

 フランク監督が率いたブレントフォードは、試合開始から相手のゴールを一直線に目指す先手必勝を掲げるチームだった。「攻撃は最大の防御」と考えている指揮官を慕う選手は多く、それは新天地トッテナムの伝統とも合致する。ノースロンドンでは1960年代のトッテナム黄金時代に「輝かしきフットボール」(Glory Game)という言葉が生まれ、このクラブのサポーターはアタッキングスタイルを好んできた。アントニオ・コンテやジョゼ・モウリーニョといった一線級の指導者が、タイトルを獲得しても長続きしなかったのは、その守備的なアプローチが受け入れられなかったからでもある。

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