検索

チャンピオンズリーグで輝く優勝請負人フリアン・アルバレス ハードワークする天才のすごさ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

西部謙司が考察 サッカースターのセオリー 
第33回 フリアン・アルバレス

 日々進化する現代サッカーの厳しさのなかで、トップクラスの選手たちはどのように生き抜いているのか。サッカー戦術、プレー分析の第一人者、ライターの西部謙司氏が考察します。

 今回は、アトレティコ・マドリードのアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスを紹介。所属する各チームでビッグタイトルを獲り続けている24歳は、チームの勝利に貢献できる特別な才能があるようです。

【デビュー以来、数々の優勝に貢献】

 チャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第7節、アトレティコ・マドリードは難敵レバークーゼンを2-1で下した。25分に攻守の要であるパブロ・バリオスを退場で失い、前半アディショナルタイムに先制点を許す苦しい展開。完全にレバークーゼン優勢の流れだった。

アトレティコ・マドリードで活躍中のアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレス photo by Getty Imagesアトレティコ・マドリードで活躍中のアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレス photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る しかし、ホームで戦うアトレティコは諦めない。52分、カウンターアタックの応酬からフリアン・アルバレスが同点とすると、76分には先制点をゲットしたレバークーゼンのピエロ・インカピエがイエロー2枚目で退場に。流れを引き寄せたアトレティコは90分、再びアルバレスのゴールで劇的な逆転勝利を収めている。

 今季、マンチェスター・シティから加入したアルバレスは別格のアタッカーだ。

 24歳にして、すでにすべてのタイトルを手にしている。デビューしたリーベル・プレートではリベルタドーレス杯。アルゼンチン代表として2度のコパ・アメリカ、ワールドカップ。マンチェスター・シティではCL。デビュー以来、毎年と言っていいほどメジャータイトルを獲り続けてきた。

 これほど勝ちっぱなしの選手も珍しい。運も実力のうちとは言うけれども、あまりにも強運すぎる。

 実力は折り紙つき。170㎝と小柄だが、アルゼンチン人らしくフィジカルコンタクトには強く、その俊敏さと途切れることのない運動量、無駄のないボールタッチとクレバーなポジションセンス......およそ弱点の見当たらないアタッカーである。

 しかし、それにしてもタイトルに恵まれすぎている。あのリオネル・メッシでも5回目のワールドカップでようやく優勝に辿り着けたのに、アルバレスは初出場でいきなり優勝だった。

 リーベル、シティ、アルゼンチン代表と所属したチームが強かったのは確かだが、むしろアルバレスの貢献によって優勝できたと考えたほうがいいかもしれない。

1 / 3

著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

【写真&選手紹介】ワールドサッカー「新」スター名鑑

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る