プレミアリーグ開幕3連勝で注目のリバプール 林陵平がアルネ・スロット新監督の戦術を徹底解説
林陵平のフットボールゼミ
今週末から再開する欧州各国リーグ。注目のプレミアリーグを開幕3連勝で目立っているのが、アルネ・スロット新監督率いるリバプールだ。人気解説者の林陵平氏に、昨シーズンからの戦術の変化と好調の要因を詳細に説明してもらった。
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【縦の速さに加えて、ポゼッションの質が上がった】
今シーズン、リバプールの新監督に就任したアルネ・スロットは、昨シーズン、フェイエノールトの試合をチャンピオンズリーグ(CL)で何度か解説した時に、「この監督は間違いないな」と思いました。試合中の修正の早さがあり、自分たちのゲームモデルを持ちながら対戦相手によって形を変えられるので、非常にいい監督です。
リバプールの今季の初期配置は4-2-3-1ですね。GKはアリソン・ベッカー。DFは右からトレント・アレクサンダー=アーノルド、イブラヒマ・コナテ、フィルジル・ファン・ダイク、アンドリュー・ロバートソン。2ボランチにアレクシス・マック・アリスターとライアン・フラーフェンベルフ。トップ下はドミニク・ソボスライ。前線は右にモハメド・サラー、中央にディオゴ・ジョタ、左にルイス・ディアス。
今季はユルゲン・クロップ前監督の縦の速さを残しつつ、ポゼッションの質が上がったのが変わった部分だと思います。ポゼッション時は、右サイドバック(SB)のアレクサンダー=アーノルドが中のボランチの位置に入り、マック・アリスターが高い位置に出る3-2-5の形や、アレクサンダー=アーノルドがそのまま右サイドの高い位置を取るケースもあります。
あるいはマック・アリスターとフラーフェンベルフが相手2トップの後ろに立ち、そこへ相手のボランチが食いついたりすると、DFラインから一気に前線に縦パスを送るような「擬似カウンター」の形も見られます。このあたりの選手の立ち位置の工夫が非常にうまいです。
第3節のマンチェスター・ユナイテッド戦(3-0で勝利)では、相手が前線からマンツーマンでプレッシャーをかけてきた時に、トップ下のソボスライを意図的にサイドのスペースに下ろし、そこにボールを送ってプレス回避するなど、昨シーズンまでとは違った形を意図的に作っているのが見えます。試合によってやり方を変えていますが、1試合のなかで再現性のある形をとっているのがスロット監督のよさです。
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著者プロフィール
林 陵平 (はやし・りょうへい)
1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。