遠藤航がプレーするリヴァプールFCの本拠地「アンフィールド」 歓喜と悲劇の130年の時を経て~欧州スタジアムガイド
欧州サッカースタジアムガイド2024-2025
第7回 アンフィールド(Anfield)
ロンドンのウェンブリー・スタジアム、マンチェスターのオールド・トラッフォード、ミラノのジュゼッペ・メアッツァ、バルセロナのカンプ・ノウ、パリのスタッド・ドゥ・フランス......欧州にはサッカーの名勝負が繰り広げられたスタジアムが数多く存在する。それぞれのスタジアムは単に異なった形状をしているだけでなく、その街の人々が集まり形成された文化が色濃く反映されている。そんなスタジアムの歴史を紐解き、サッカー観戦のネタに、そして海外旅行の際にはぜひ足を運んでもらいたい。連載第7回はアンフィールド(イングランド)。リヴァプールの本拠地であるアンフィールド photo by ロイター/アフロこの記事に関連する写真を見る
【リヴァプールの本拠地】
現地時間8月16日から、イングランドでサッカープレミアリーグの2024-25シーズンが開幕した。1992年のプレミアリーグ設立当初から参加しているクラブの一つが、かつては日本代表MF南野拓実(ASモナコ)が在籍し、現在は日本代表のMF遠藤航が所属するリヴァプールである。
赤いユニフォームの色からついた愛称「レッズ」でお馴染みのリヴァプール。1892年に創立されたクラブは、UEFAチャンピオンズリーグで過去6度のタイトルを獲得し、優勝杯「ビッグ・イヤー」の永久保持を認められている。プレミアリーグ以前はイングランド1部リーグで最多となる18回の優勝を誇っていたが、プレミアリーグになってからはなかなか優勝できず、2019―20シーズンにプレミアリーグ初制覇を達成し、30年ぶり19度目の戴冠となった。
そのリヴァプールのホームスタジアムが「アンフィールド(Anfield)」である。実はこの場所、もともとは永遠のライバル、エヴァートンのホームスタジアムだったことはよく知られている。
「アンフィールド」という名前は、周辺のエリアを指し、もともとの語源は古英語と中英語を合わせた言葉で「斜面にある野原」という意味だという。エヴァートンは1884年にアンフィールドをホームグラウンドとして使用し始めたが、賃料や土地買収の問題でクラブと所有者の折り合いがつかず、現在も使用している近隣のグディソン・パークへと移っていった。
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著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。