カタールW杯でも優勝候補の前回王者フランス。エムバペ、ベンゼマ、グリーズマンら多様な選手を共存させる「スタイルのない」チーム (3ページ目)
現代ならではの代表チームの作り方
カリム・ベンゼマという大駒が加わった2021年のユーロでは、試行錯誤の末に最適解を見いだせないままラウンド16で敗退している。一方、その3カ月後のネーションズリーグではベルギー、スペインを連破して優勝。中堅国風の3-4-1-2でベンゼマ、エムバペ、グリーズマンの共存方法を見つけていた。
フランス代表の主要メンバーこの記事に関連する写真を見る 代表チームは時代を問わず、ある程度一定した特徴の選手が揃うものだった。結果的にメキシコはメキシコらしく、アイルランドはアイルランドらしいチームになり伝統として続いていく。
ところが多様化が進んだフランスは、高さ、強さ、速さ、巧さに何一つ不足のない世界選抜的な編成が可能な半面、1つの型がないためにまとまらずに終わる危険もあるわけだ。
さらに代表の母体となるようなクラブチームもない。第一波の時のランスは例外で、サンテティエンヌ、マルセイユ、リヨン、パリ・サンジェルマンと強豪クラブが移り変わるなか、どれ1つとして代表に転用できるクラブがなかった。代表選手はイングランド、ドイツ、スペイン、イタリアなどのクラブに所属していて、国内にはいなかったからだ。これは現在も変わらない。
1990年代以降のフランス代表は、基本的にぶっつけ本番だ。準備は周到だが本当の姿をみせるのは大会に突入してから。何にでもなれるが、何者にもなれないかもしれない。代表としての活動期間の短さ、母体となるクラブを持たない輸出国という点では南米など多くの国と共通する。
フランスはそうした現代の代表チームの先駆けとなった存在であり、スタイルがはっきりしないのが伝統というのも現代的なのかもしれない。
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