旗手怜央が試合前に手に取る大切な本。「自分の考え方を整理し、再認識する一助になっている」
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Jリーグの川崎フロンターレから、スコットランドのセルティックに活躍の場を移した旗手怜央。初めての欧州サッカー、欧州生活で感じた、発見、刺激、体験を綴っていきます。第4回はオフ・ザ・ピッチの話。本人が家にいる時や試合前に時間を費やすという「読書」について明かしてくれました。
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家では読書に時間を費やしている
試合前のルーティーンのひとつとして、いつからその本を手に取るようになったのかは覚えていない。
ただ、その一冊が自分自身の世界を広げてくれたことは確かだ。
試合会場へ向かう旗手怜央。移動のバスの中でも本を開くというこの記事に関連する写真を見る スコットランドではひとりで過ごす時間も多いため、日本で生活していた時よりも、サッカーの試合を見る機会は増えた。プレミアリーグやUEFAチャンピオンズリーグがリアルタイムで視聴できるのも大きいだろう。ナイトゲームなどは、部屋でストレッチをしながら見ている。
練習を終えて家に帰ってきてからは、リラックスする意味も含めて、読書に時間を費やしている。著名な人が自身の考え方や仕事における姿勢などをまとめた本から、小説に至るまで、その時々の気分に応じて選んでいる。
今まさに手に取っているのは、森岡毅さんが書かれた『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』(森岡毅著/ダイヤモンド社刊)。著書である森岡さんが、自身の娘に語りかける口調で綴られていて、社会で生き抜いていくために必要なことなどを書き記している。
読書は、サッカー選手というよりも、人として多くを知り、さらに成長したいという意欲から来るものだと、自分では感じている。
学生時代から徐々に本に興味を持つようになったが、そのきっかけを与えてくれた一冊がある。
親元を離れ、静岡学園高校に入学した時だった。生まれ育った三重県鈴鹿市を飛び出し、自分は寮生活を送ることになった。サッカーを続ける先として静岡学園高校を選んだ経緯や当時の心境については、別の機会に触れられたらと思うけど、初めての寮生活を送っていた高校1年生のある日、寮母さんが寮生全員に一冊の本をプレゼントしてくれた。
『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(池田貴将編訳/サンクチュアリ出版刊)
改めて調べてみると、自分が静岡学園高校に入学した2013年に出版されているので、おそらく寮母さんは、その時々で違った本を寮生に贈っているのかもしれない。
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