2020.11.06

レスターのバーディーが毎年大量得点を決めることができる能力の正体

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 バーディーにはスピードがある。これは誰が見てもわかる能力だ。ポジショニングも優れている。クロスボールが入ってくる時にはDFの背後にいる。ボールを見ているDFの背後にいるので、そこからゴール方向へ動いても、逆に遠ざかっても、DFが即座に捕まえるのは困難だ。ただ、これはFWの定石であってバーディーでなくてもやっている。

 バーディーが特殊なのは、そこから急にDFの前に割り込んでシュートを決める、あるいはさらに背後へ回ってフリーになる動きが、入ってくるボールとつながっていることだ。

 DFの背後から動いてフリーになるだけなら誰でもできるが、そこへボールが来なければシュートは打てない。ボールが来る場所で常にフリーになれるなら、それは才能だ。

 サッカー史上最高のゴールゲッターだったゲルト・ミュラー(西ドイツ/当時)は、得点嗅覚に優れたストライカーの典型だった。1974年西ドイツワールドカップのユーゴスラビア戦では、ウリ・ヘーネスのクロスボールに対して、DFの背後からスライディングしてボールをかっさらい、そのまま寝ころんでシュートを決めている。

 このゴールについて本人に聞いたら、

「ヘーネスがああいう体勢から蹴れば、ボールはあそこにしか来ない」

 当たり前だと回答されたのを覚えている。本人にすれば当然。だが、ほとんどの選手にとってはそうでないはずだ。そこで「来ると確信したとおりにボールが来る確率はどのぐらいか」と尋ねたら、

「20パーセントぐらいかな」

 2割なのだ。8割はボールが来ない。2割でも相当高い確率なのだろうが、8割は来ないよと平然と答えていたのが、ストライカーのメンタリティなのだと思った。

 バーディーが必ず「そこ」にいるのは、8割ボールが来なくても、本人は10割「そこ」へ行っているからに違いない。このメンタルには、リーグのレベルはまったく関係がない。

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