最強フラメンゴも完敗。南米のクラブが欧州に勝てない理由は明白だ

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by AFP/AFLO

 今月21日にカタールの首都ドーハで行なわれたクラブW杯決勝で、欧州王者リバプール(イングランド)が延長の末、南米王者フラメンゴ(ブラジル)を1-0で下した。

 リバプールは1981年にジーコが率いるフラメンゴに、2005年にサンパウロ(ブラジル)に敗れており、3度目の挑戦で初めて世界の頂点に立った。

 筆者は、今回は久々に南米代表が優勝する絶好のチャンスであり、逆に言うと、もし今年勝てなければ、当分、欧州勢には勝てないだろうと考えていた。その理由はいくつかある。

クラブW杯決勝で、延長戦の末、リバプールに0-1で敗れたフラメンゴの選手たちクラブW杯決勝で、延長戦の末、リバプールに0-1で敗れたフラメンゴの選手たち まず、今年のフラメンゴが近年の南米では突出して強いチームだったことが挙げられる。

 コパ・リベルタドーレスでは、決勝こそリーベルプレート(アルゼンチン)に苦戦したが、準決勝までは圧倒的な強さで勝ち進んだ。また、国内リーグでも最多勝ち点記録と最多得点記録を大幅に更新し、ぶっちぎりで優勝。この2大会のダブル制覇は、1963年にペレ率いるサントスが成し遂げて以来、実に56年ぶりという快挙だった(ちなみに、1960年代前半のサントスは黄金時代で、1962年から2年連続で、インターコンチネンタルカップを制している)。

 コパ・リベルタドーレスで勝ち進むと、南米では国内のリーグやカップ戦と合わせて超過密日程となる。欧州ビッグクラブのように2チーム分の戦力があるわけではないから、通常、コパ・リベルタドーレスをベストメンバーで戦い、国内の試合には控えチームを送る。それゆえ、国内リーグのタイトルは事実上あきらめることとなり、5~10位にとどまるのが通例だ。

 しかし、ジョルジ・ジェズス監督(ポルトガル人)の方針で、今年のフラメンゴは両方の大会をほぼ常にベストメンバーで戦った。故障や累積警告によってレギュラーが欠場しても、代わりの選手が遜色のない働きをする。ふたつの大会で順調に勝ち進み、ほぼ同時に優勝を決めた。

 南米代表で最後に世界クラブ王者となった2012年のコリンチャンス(決勝でチェルシーを1-0で下した)も、この年の国内リーグの成績は6位。今年のフラメンゴの方が2012年のコリンチャンスより強いと思われた。

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