スペイン2部で出番のない井手口陽介でも、西野ジャパン入りは濃厚? (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 イングランドのリーズ経由でガンバ大阪からクルトゥラル・レオネサに加入した井手口。戦術理解に関していえば、一番の特効薬は通訳をつけることであるのは間違いない。だが、ここでも混乱が生じてしまった。シーズン終了後にはチームにいるかどうかわからない選手に対して、無理をしてまで通訳をつけようという意思がクルトゥラル側に希薄だったこともあり、通訳選びは二転三転し、必要以上に時間がかかってしまった。

 現役時代には日本人選手とプレーをした経験のあるバレラ監督自身は、井手口の力を評価していないわけではない。3月に話を聞いたときには、日本人MFの力を買っているし、「特に攻撃のセンスはすばらしい」と話してくれた。ただ一方では、守備時のポジショニングや、ボールを奪いにいくときのタイミングをもっと修正しないといけないと、課題も指摘していた。

 井手口の置かれた現状を正直にいえば、このまま飼い殺しのような状態で、試合に出ることができないままシーズンを終える可能性は否定できない。

 だが、西野監督が試合翌日の練習にまで足を運び、しっかりと視察をしたということの裏を読むとしたら、井手口が試合に出ていなくても、コンディションがよければ代表に招集するということだろう。

 スタートダッシュでつまずいたスペインでの挑戦。だが、これで井手口の海外での戦いが終わったわけではない。得るものは少なかったかもしれないが、この4カ月で血肉となったものもきっとあるはずだ。なによりもこれほど厳しい状況にあって、井手口自身が腐っていないことは大きな収穫といえる。

 来シーズン、おそらく井手口がスペインにいることはないだろう。ただ、クルトゥラル・レオネサでの失敗もまた、次なるステージで間違いなく力になるものと信じている。

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