【イングランド】マンU南ア遠征、香川真司「厳しさは感じない」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 ふたを開けてみると、出場はわずかに4分間。それもエルナンデスが足をつったからであり「香川の出場は予定外だった」と、試合後のファーガソン監督は前日の発言をあっさりひるがえした。要するにウソだったのだ。

 ツアー2戦目はアヤックス・ケープタウン戦。香川は無事に先発出場にこぎ着ける。だが、やはりまだまだ味方との呼吸には戸惑いが。これまでであればボールが出てきたタイミングで動き出してもボールは来ない。違うタイミングで受けても準備ができていないからミスをする。正直なところ苦戦している様子だった。試合後の香川もそれをあっさりと認めた。

 ミックスゾーンに登場した香川は開口一番、「いやー」と大きな声に悔しさを乗せ、そして続けた。

「コンディション的にも、まだまだだなって感じでした。チームのやりかたや、4-4-2だけど3ボランチ気味でなかなか前線に人数がいなかったり、前との距離感がつかめなかったりして、特に前半難しいと感じましたね」

 だが、その口調や表情は想像よりも明るく、落ち着いたものだった。香川は自分では意図しなくても、表情や言葉に感情が出てしまうタイプだ。彼自身の中では現状をそれほど悪いとは思っていないし、苦戦はしているがこれから馴染んでいけるはずだと感じていることが伝わってきた。

「この中でどういうプレイができるかなと思ってやった。コンビネーション、距離感がつかめなかった。もっともっと自分の良さを知ってもらい、もっとお互いに分かり合えれば......」

 明確な課題の有無ということより、今はチームに馴染んでいる真っ最中だということを香川は強調する。

「もう海外で2クラブ目ですし、厳しさっていうのは感じないですね」

こちらの関心や心配を見透かすかのように、そしてかわすかのように、笑みさえ交えながら語る姿は頼もしささえ感じさせた。

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