「冷静じゃなかったかもしれない」昨季J1昇格を逃した清水エスパルス・秋葉忠宏監督が明かす今季の戦略とは

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

 昨季、清水エスパルスは第41節終了時点で2位だった。最終節の水戸ホーリーホック戦に勝てばJ1に自動昇格できたが、ドローに終わり、4位にまで順位を下げた。この結果がプレーオフにも影響し、J1昇格を果たせなかった。

今季J1昇格を目指す清水エスパルスの秋葉忠宏監督 photo by Fujita Masato今季J1昇格を目指す清水エスパルスの秋葉忠宏監督 photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る

――昨シーズンは、最終的にJ1昇格プレーオフを戦うことになってJ1昇格を逃してしまいましたが、今あらためて振り返って、昇格できなかったことについて、どう考えていますか。

「いろいろ原因があります。たとえば、最終節の水戸戦は、僕の古巣で勝たないといけない試合で、どう準備していけばいいのか、すごく考えました。思いきり『ここで決める』という覚悟を持って試合に入るのか、普段どおり入るのか、それともアウェーなので慎重に入るべきか、ミーティングする際に3つのバージョンを用意していたんです。

 最終節で自動昇格が決まる試合だったので、結局いつもどおりにいくというのを選んだのですが、結果が出なかったので、違う選択をしたほうが良かったのかなとか思いました。こうことを含めて僕がマネジメントしきれなかった結果、昇格できなかったんだと思います」

――昇格を逃したのは、試合やそこまでのプロセスも含めて、マネジメントできなかったことも要因のひとつだと考えているのですか。

「そうですね。試合までの1週間をどう過ごすのか、ミーティングで話す内容もギリギリまで悩んで決めています。今もですが、試合まで毎日が決断の連続です。

 プレーオフの時で言えば、準決勝のモンテディオ山形戦はレギュレーション(ドローならリーグ戦の順位が上のチームが勝利)をうまく使っていくということを徹底し、ドローでしっかり勝ち上がることができました。でも、決勝の東京ヴェルディ戦は勝たないと昇格できなので、点を取ることばかり考えていた。その時点で、冷静じゃなかったのかもしれないです」

――リーグ戦のヴェルディ戦では、ホームで2-1(第8節)、アウェーでも1-0(第29節)で勝利していました。

「この2試合は、得点を挙げたあと、DFの選手を入れて逃げきる用意をして、しっかり勝てていたんです。でも、プレーオフの時は『勝たないといけない』『点を取らないといけない』という意識が強く働いてしまい、ベンチに攻撃的な選手ばかり入れ、リーグ戦で勝った時のようにディフェンスの選手を入れていなかった。だから、後半に追いつかれてしまったのかなと......。

 あの時、宮本(航汰)とかを入れていれば、1-0で勝てたのかもしれないですが、大事な試合で勝ちパターンを変えてしまった。その試合を含めて、本当にいろんなことを考えていたら、オフがあっという間に終わりました」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る