アレクサンダー・ショルツが欧州でなく浦和への移籍を選んだ理由 いつ日本に興味を持った? (3ページ目)
【欧州よりも日本の社会のほうがしっくりくる】
4年前に天皇杯の一戦のスタンドで友だちの母に言われたことは、「完全に正しかった」とショルツは言う。彼の穏やかな性格は、日本とスムーズに調和したようだ。
「外国人のなかには日本の嫌いなところを愚痴にする人もいるけど、私にはそんなものはほとんど思い当たらない。実際、欧州の社会よりも日本の社会のほうが、私にはしっくりくる。日本人は他者を敬い、他のひとに迷惑をかけないようにするけど、それは私も同じだ。個人的に、自分はこちらの文化のほうに親近感を覚えている。それに普段の生活は、クラブのスタッフが手助けしてくれるから、問題は一切ない。選手はフットボールに集中できるから、言い訳は許されないね。
日本は知れば知るほど、興味深い国だ。例えば、外国人のなかには、日本人はユーモアのセンスが希薄だと言う人がいる。でもそれはただ日本のことを知らないだけで、実際はとても面白い人が多い。言葉の問題があるからだと思うが、それさえも私にとってはポジティブなもので、語学を学ぶモチベーションになっている。日本語を習って、微妙なニュアンスまでわかるようになりたい」
それがショルツの本心から出た言葉だということは、インタビューが進むうちにわかるようになっていった。
アレクサンダー・ショルツ
Alexander Scholz/1992年10月24日生まれ。デンマーク・コペンハーゲン出身。浦和レッズ所属のDF。身長189cm、体重84kg。母国のヴェイレBKでキャリアをスタート。アイスランドのストヤルナンを経て、2012年からベルギーのスポルティング・ロケレン、スタンダール・リエージュ、クラブ・ブルッヘでプレーした。2018年からはデンマークに戻り、FCミッティランで3シーズンプレー。この間CL出場やデンマークリーグのMVPを獲得。2021年シーズンの途中から浦和へ加入し、プレーしている。
著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
◆【漫画】夫(横浜F・マリノス)vs 妻(浦和レッズ) 別々のクラブを応援する「他サポ夫婦」
3 / 3