「鹿島らしさ」を見せずにV消滅。満身創痍のツケが回ってきた (2ページ目)

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 さらに今夏にはチームの主力である鈴木優磨、安西幸輝、安部裕葵の3人が揃ってヨーロッパのクラブに移籍。その穴を埋めようと法政大学から上田、名古屋グランパスから相馬勇紀、柏レイソルから小泉慶を補強したが、その穴を完全に埋めることはできなかった。

 9月のACL準々決勝で広州恒大に敗れると、三竿健斗、レオ・シルバ、セルジーニョと主力選手が次々にケガで離脱。10月のルヴァンカップ準決勝で川崎フロンターレに敗れると、今度は犬飼がケガで離脱。8月末からのハードスケジュールのツケが一気に回ってきた形だ。

 11月に入るとケガ人が少しずつ戻ってきたとはいえ、いい時の鹿島には程遠く、勝ち点を落としていった。

 鹿島は結局、1シーズンをとおしてケガとの闘いだったといえる。おそらく「今季の鹿島のベストメンバーは?」と問われて、すぐにスラスラと名前が出る人は少ないだろう。それほど常にメンバーを入れ替えながら、満身創痍で戦ってきた。そんな状態でも終盤まで優勝を争ったのだから、それはこのチームの強さだろう。

 しかし、ACL、ルヴァンカップ、Jリーグとタイトルを獲れなかったのも事実。残るは天皇杯。このまま無冠に終わるのか、それとも名門の意地を見せるのか、注目したい。


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