あの「つま先ゴール」から16年。鈴木隆行が分析するハリルJとW杯 (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

日本代表として国際Aマッチに55試合出場し、11得点を記録した鈴木 photo by Kurita Shimei日本代表として国際Aマッチに55試合出場し、11得点を記録した鈴木 photo by Kurita Shimei――初戦のベルギー戦での"つま先ゴール"で一躍有名になりました。

「あのゴールを含め、日韓大会で僕のサッカー観は変わりましたね。具体的に世界との距離を掴めて、本当にすべてを変えないと上を目指せないと気づいたんです。『このままじゃダメだ』と。当時はフィジカルを評価されて起用されていた部分もありましたが、本当に当たりの強い環境でやれていなかった。

『この差を埋めるのは、日々の練習や考え方から変えていかないと一生埋まらない』と、気持ちの面も含めて、自分の課題が明らかになりました。もともとブラジルのクラブでもプレーしていたくらいですから、海外志向は強いほうだったんですけど、あの大会を経て、何が何でも海外に行かないと成長はない、と決意を固めたんです」

――生活面でも変化がありましたか?

「街を歩いていても、声をかけられる機会は圧倒的に増えましたよ。でも僕は、もう次の舞台のことしか考えてなかった。だから、ゲンク(ベルギー)からオファーをもらった際は、迷いはなかったです」

――現在の日本代表やヨーロッパのサッカーはご覧になっていますか?

「見てますよ。指導者の勉強の意味もありますしね」

――現在の代表チームに関して感じるところは?

「今の代表に関しては批判的な意見も聞きますが、現場はすごく努力を重ねてきている。ここまで急激にレベルが上がった国は、世界的に見ても珍しいと思うレベルです。『俺たちの時代から、すごくレベルが上がったな』と。

 昔はよくも悪くも適当な部分がありましたからね。それに、今は強豪国と戦えるベースが少しずつできていると思うんです。個々の能力に関してもそう。例えば、昔はまぐれでもブラジルと拮抗した試合をするなんて不可能だったと思うんです。それが今では、強豪国とガチンコで戦って、勝ってもおかしくないところまで成長を遂げたように感じています」

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