フランクフルト移籍の鳥栖・鎌田大地は「バックミラー」が付いている (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara -JL/Getty Images for DAZN

 2015年のデビューシーズン、名古屋グランパス戦でのプレーにはド肝を抜かれた。後ろから来たディフェンダーを一度左に誘い、重心を傾げさせ、すぐさま体をひねって右中央に左足でパスを通し、豊田陽平のゴールを演出した。

 これは誰にでもできる技ではない。日本代表の香川真司、清武弘嗣などに匹敵するファンタジーだろう。そのチャンスメイク力は詩的なものさえあって、それはトップ下と呼ばれるFWとMFをつなぐポジションの選手にとっての資質と言える。

 そしてフィッカデンティ監督は鎌田に新たな要求もした。

「2トップを飛び越え、ゴールに迫れ」

わかりやすく言えば、得点も求めたのだ。

 単刀直入に言って、その挑戦は道半ばに終わっている。今シーズンもわずか3得点。鎌田の得点は目に見えて増えたわけではない。むしろ今季は、1人で厳しいスペースに突っ込んでいくことで、チャンスを逃した場面も少なくないだろう。自己主張の強すぎるプレーで、せっかくの「時間を操る」才能が無駄遣いされた部分も否めない。

 しかし、鳥栖での2年半で「球際で戦う」という点は鍛えられた。トップ下だけでなく、ボランチやサイドハーフも違和感なくこなせる。ピッチのどこにいてもプレーをアジャスト。体格にも恵まれ、ボールをめぐるファイトに負けない。

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