【Jリーグ】20年間ブレはなし。ブラジルのスタイルと「ジーコの哲学」を貫く鹿島 (2ページ目)
オリヴェイラ監督が率いた昨シーズンも4-4-2を採用
ジーコの「タイトルをとること、勝つことへの執着心」がよく表われていたのが、ヴェルディ川崎(現東京)と鹿島が対戦した1993年のチャンピオンシップ。PKの判定を不服としたジーコがつばを吐く"事件"があった。
つまり、そういう抗議をしてまで勝敗にこだわるという彼の強烈な執念が垣間見えた瞬間だった。ジーコは選手として、たくさんの栄冠を勝ちとってきた人であり、そんな偉大なプレイヤーが40歳を越えて現役復帰をして、日本の新しいリーグであっても、そこまでやる。
あの行為自体は決してほめられるものではないが、なんとしても勝ちたいのだということが伝わってきたし、今も強く印象に残っている。だから、どんな試合でも、勝つことへのメンタリティは揺るぎない。それが鹿島というクラブの根底にずっとあるのだと思う。
歴史に残るのは結果だけ。常に結果を求められる世界。それがプロだ。いくらいいサッカーをしても、勝たなくてはダメ。82年のワールドカップで、ブラジル代表の「黄金のカルテット」のひとりとして期待されながら、結果を残せずに批判を浴びたジーコは、それが身に沁みているからこそ、常に結果にこだわるのかもしれない。
私自身、ブラジルサッカーというと、以前は華麗なイメージを持っていたが、実は勝負にこだわる姿勢がキモ。それを実感したのが、2005年のコンフェデ杯に取材に行き、ブラジル代表の練習を見たときだった。遊びのミニゲームひとつでも、全員が非常に熱くなっていて、シュートはフルパワー、コンタクトも激しい。勝負に対する執着心を強く感じたし、それが勝者のメンタリティにつながるのではないかと思った。
たとえば、浦和が2006年にリーグ優勝したときもブラジル人が5人いた(※日本に帰化した三都主アレサンドロと田中マルクス闘莉王のふたりと、ロブソン・ポンテ、ワシントン、ネネの3人)。彼らの勝ちへの執念が、浦和にタイトルをもたらした部分も少なからずあったのではないかと思っている。
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