藤田譲瑠チマが語る、ベルギーでのプレーに活きている世代別代表とJリーグでの経験
U-23日本代表MF/シント・トロイデン
藤田譲瑠チマ・インタビュー後編
◆藤田譲瑠チマ・前編>>「日本とベルギーのサッカーの違いとは」
ゲンクがベルギーの強豪クラブのひとつに対し、シント・トロイデンは小クラブ。ただ、両者が激突する「リンブルフ・ダービー」は、クラブの規模とは関係なく、常に際どく白熱したゲームになる。
藤田譲瑠チマが先発した1月28日のダービーもそう。ゲンクが1点リードした後半アディショナルタイム。伊藤涼太郎の美しいFKがゴールネットを揺らして1-1に追いついた。その直後、ゲンクのサポーター席から発煙筒が何本も投げ込まれて試合は中断。再開後、勝ち越しゴールを狙ってシント・トロイデンは攻め込んだが、両者勝ち点1を分け合って終了した。この一戦を、U-23日本代表の大岩剛監督が視察していた。
そのダービーの結果や、五輪代表について、シント・トロイデンのクラブハウスで藤田に聞いた。
※ ※ ※ ※ ※
藤田譲瑠チマは大岩ジャパンの中盤に欠かせない存在 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る── リンブルフ・ダービー、すごかったですね。
「そうですね。試合中も発煙筒が投げ込まれたり、(前半2分に失点して)自分たちのサポーターからブーイングを浴びたり......。そんなこと、日本ではあり得ない。観客数(10,437人)はそんなに多くないと思いますが、日本では味わえない雰囲気でした。とてもいい経験になりました」
── たしかに試合開始早々にブーイングがありましたが、それでも最後、伊藤涼太郎選手がすごいFKを決めて盛り上がりました。
「このチームはすごい距離感が近いというか。まあ、地域が狭いっていうのもあると思いますけど、街中を歩いてたらファン、サポーターの人に声をかけられたりするのが当たり前の土地柄です。クラブ愛がすごく伝わってきます」
── 先日、オランダリーグを取材していたら、たまたま大岩剛監督の姿を見かけました。シント・トロイデンにも視察に来ましたか?
「はい、少しだけ話をしました。大岩監督が来たのはゲンク戦でした。0-1で負けていた時に自分がベンチに下がったので、監督から『難しい状況だね』という話がありました。あとはポジションの話。『ふだんとは違うポジションかもしれないけれど、その状況でも自分のよさを出せるように今はがんばって』ということ。
1 / 5
著者プロフィール
中田 徹 (なかた・とおる)
スポーツライター。 神奈川県出身。オランダを拠点に、2002年よりサッカーを主に取材。オランダスポーツジャーナリストクラブ会員。