2023年、ブレイクが期待される日本人サッカー選手は誰だ。「ベスト3」を識者5人が選出 (3ページ目)

  • photo by Getty Images

橋本拳人は欧州最前線での活躍が望まれる

小宮良之氏(スポーツライター)

1位=橋本拳人(ウエスカ/MF)
2位=中野伸哉(サガン鳥栖/DF)
3位=西川潤(サガン鳥栖/FW)

 ワールドカップ出場選手は除き、新たに躍進を期待したい3人を選んだ。

 橋本は、遠藤航に匹敵する能力を持っている。代表でも一時、実際に序列は上だったほどである。攻守のオールラウンダーで、プレーエリアが広く、体の動きもダイナミックで、何よりクレバーに周りを動かせる。それが、度重なるケガやロシア(ウクライナ侵攻)でのプレーというハンデによって、W杯出場も逃すことになった。

 しかし、新天地を求めて今シーズンから移籍したスペイン2部のウエスカで、すでに中盤で主力になっている。代表復帰だけでなく、スペイン1部など欧州最前線での活躍が望まれる。大きな飛躍を遂げる転機の年になるはずだ。

 中野は、日本では珍しい左利きのサイドバックとして、次の時代を背負うべき逸材と言える。ナチュラルな才能だけで、相手の裏をとれる間合いと技術を持っている。左だけに頼らず、右でもほとんど同じように蹴れるだけに、インサイドに入ってゲームメイクもできる。

 体格にも恵まれ、いわゆるモダンなサイドバック。鳥栖を率いる川井健太監督の戦術論理をプレーに落とし込むことができたら、今後代表の左サイドバックは10年以上、安泰だ。

 西川は、2019年のU-17W杯で左利きのアタッカーとして脚光を浴びたが、当時甘やかされていたことで才能に溺れてしまい、プレー強度がまったく足りていなかった。

 しかし昨シーズン、鳥栖に来たことによって、心身ともに鍛えられ、シーズン終盤にはセンスが開花。左足のキック&コントロールは天才的で、かつてバルサのスカウトも惚れ込んだように、大化けする可能性がある選手だ。


鎌田大地は3大リーグの強豪クラブへの移籍も

中山 淳氏(サッカージャーナリスト)

1位=鎌田大地(フランクフルト/MF)
2位=三笘 薫(ブライトン/MF)
3位=古橋亨梧(セルティック/FW)

 2023年は、日本代表の大きな大会が予定されていないこともあり、選手個々が所属クラブで切磋琢磨し、より高みを目指してキャリアアップできるかが注目される。そんななか、現在欧州の移籍マーケットを賑わせている日本人が、フランクフルトの鎌田だ。

 今夏の契約満了を前に冬の移籍も噂されたが、現状、夏の市場でフリー移籍する可能性が高まっている。現地ではドルトムント、トッテナム、ローマ、あるいはバルセロナといった名前が挙がっているが、フランクフルトからのステップアップ移籍となれば、3大リーグの強豪クラブが移籍先となる可能性は十分にある。

 現在ビッグクラブに所属する日本人は、アーセナルの冨安健洋のみ。それだけに、W杯前に公式戦12得点を記録した鎌田がビッグクラブ入りを果たすのか。後半戦のパフォーマンスも含めて大いに期待したい。

 W杯でインパクトを残した三笘は、ロベルト・デ・ゼルビ監督になってから序列を上げてスタメンを奪取。リーグ再開後から得点やアシストも含めて好調を維持しており、ステップアップの匂いがプンプン漂い始めている。まだ今夏の移籍の可能性は高くないが、少なくとも市場での株価上昇は間違いなく、ビッグクラブへの階段も見えてきそうだ。

 W杯には出場できなかったが、現在セルティックでリーグトップタイの15得点を記録する古橋も、期待のひとりだ。シーズン20得点以上も現実的で、そうなればイングランド・プレミアリーグへの扉も開かれるはず。やはり日本代表のCFには得点を奪える選手が必要なだけに、古橋のステップアップにも期待したい。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る