伊東純也のプレーを風間八宏が分析。スピードは「無敵」。精度が上がったクロスは「敵がいない場所に供給できている」 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

クロスは敵がいない場所に入れる

「おそらく、以前はクロスボールを入れる時に味方を探していたのだと思います。それが、最近は敵を見るようになって、敵がいない場所にクロスを供給できるようになったということでしょう。

 味方を探していると、なかなかクロスは成立しません。重要なのは、敵が届かない場所にクロスを入れて、そこに味方が入ってくる関係です。そうすれば、クロスに合わせる選手も敵がいない場所に入ってくればいいだけですから、自然とゴールが決まる確率も高くなります。

 ベルギーでプレーしている伊東を見ても、クロスでアシストしているシーンでは、しっかり敵のいない場所にクロスを入れていることがわかります。その場所を見つける眼も速くなっているので、ピンポイントクロスが成立するようになっている。

 その意味では、前にスペースがなくても、周りと絡めるようになったうえ、高精度のクロスボールという武器も備わってきたので、カタールW杯ではマークが厳しくなるとは思いますが、日本にとっては大きな武器になると思います」

 風間氏が指摘したように、ここ数年の伊東の成長ぶりには目を見張るものがある。それはすでにアジア最終予選で実証済みだが、おそらくカタールW杯でも、日本の最大のキーマンになることは間違いないだろう。

 果たして、グループリーグの3試合で、森保一監督は伊東という武器をどのように使うのか。そこが、日本の命運を分けることになるかもしれない。

伊東純也
いとう・じゅんや/1993年3月9日生まれ。神奈川県横須賀市出身。逗葉高校から神奈川大学を経て、2015年にヴァンフォーレ甲府に入団。翌年からは柏レイソルで3シーズンプレー。抜群のスピードを武器にアタッカーとして頭角を現した。2019年にベルギーのゲンクに移籍。在籍4シーズンでリーグ優勝、カップ戦優勝を1度ずつ経験している。日本代表は2017年にデビューを果たし、カタールW杯アジア最終予選では4得点2アシストの大活躍で、日本のワールドカップ出場に大きく貢献した。

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風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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