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大久保嘉人が「全然、面白くなかった」南アW杯。それでも「問題もなかった」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

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◆大久保嘉人が「喧嘩腰」で挑んだリーガ。相手の態度が許せなかった>>

 大会直前、岡田武史監督は大きく舵を切っている。極端に言えば、「自分たちのボール」から「相手のボール」へ。イニシアチブをとる能動的な戦いは難しく、相手が嫌がることをやり続ける受け身的な戦いに活路を求めた。

 象徴的なのは、アンカーに阿部勇樹(浦和レッズ)を起用した点だろう。「タポン」(スペイン語でふたを意味する)と言われる選手をバックラインの前に置くことで、相手の攻撃スペースを消し、自由を許さず、ダメージを最小限にした。ドイツワールドカップ以降、日本はバックラインの前で"ふたが空く"シーンが絶えなかった。そこを補強し、守備を出発点にした戦いに切り替えた。

 その方針転換で、チームの新陳代謝が一気に進んだ。

 ゴールマウスは過去3度のワールドカップメンバーだった川口能活(ジュビロ磐田)や楢崎正剛(名古屋グランパス)ではなく、川島永嗣(川崎フロンターレ)が守ることに。キャプテンも、中澤佑二(横浜F・マリノス)から若い長谷部誠(ヴォルフスブルク)に交代した。また、長い年月、日本のエースとして君臨していた中村俊輔(横浜FM)から、当時23歳だった本田がポジションを奪った。同じ北京世代では長友が左サイドバックで不動の存在となり、岡崎慎司(清水エスパルス)も切り札になっている。

 反骨心旺盛な選手たちが台頭した。

 初戦のカメルーンに負けていたら、チームは空中分解していたはずだが、一か八かの賭けに勝った。デンマーク戦も、狙いが奏功。実務的な戦いを遂行し、本田、遠藤保仁(ガンバ大阪)の2本の直接FKが決まった。

 そしてパラグアイ戦、日本は一進一退の攻防を見せている。

 しっかりと守りの形を固め、前線の3人が間隙を縫って攻めた。序盤から大久保が果敢にミドルを狙い、松井のシュートは惜しくもバーを叩き、本田が合わせた一撃はゴール左へ逸れていった。攻め込まれても、選手は体を投げ出し、相手のプレーを制限し、ゴールを与えていない。前線でファウルを取ると、遠藤のFKが脅威を与えた。

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