阪口夢穂が語る「ボランチから見たなでしこジャパンの今と昔」 (2ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ヨーロッパ遠征ではイングランドに1-1で痛み分け、ドイツには2-4で完敗を喫した。そこで感じたのは自分たちのスタイルを、より発展させなければ未来はないという現実だった。そしてヨーロッパ遠征から3週間後、日本の十八番とも言える東アジア選手権を迎える。3連覇を狙う日本だったが、中国、韓国、北朝鮮に1勝1敗1分けで2位に終わった。タイトルへの重圧より、互いに必要なコミュニケーションがなされていれば、共有できるはずのイメージが全く備わっていなかったことがすべてのプレイに陰を落とした。阪口の言う「11人で同じことを考える」ことができていなかった。ヨーロッパ遠征時から少しずつ取り入れ始めたタテ攻撃には最も必要な要素であるが、そこは手つかずだったと言っていい。その事に触れると意外にも阪口からはこんな言葉が飛び出した。

「メンタルのところはまあその通りですね(苦笑)。でも、タテ攻撃については、ちょっと違和感がある。あや(宮間)とも話をしてたんですけど、マスコミでタテ攻撃の話をすごいされてたじゃないですか。自分たちは実はそれほど意識してなかったんですよね。『そんなにタテかなあ?』って言ってたくらい(笑)。ゴールに一番近い攻撃ってことで自分としては常に狙っていたいけど、それだけだと単調になるし、タテ攻撃はここ!ってときだけでいい気がする」

 タテへの攻撃の代償として、日本は度々カウンターを食らってピンチを招いている。日本が前がかりになったところをはがせば、カウンターで崩せる――対戦相手には日本のウィークポイントと映ってしまっているのだ。

「ボールを取られる場所とタイミングがめっちゃ悪すぎるんです。だから最近すごくカウンターでやられる」

 ピンチを招いた原因はわかっている。ただ打開策がまだ見えていないのが現実だ。そのひとつに攻守の要となるボランチコンビが一定していないことも大きい。

「私は組む相手によってプレイスタイルが変わるんです。ここまで、やる試合やる試合ペアが変わってて......。ほとんどの選手と組んだけど、誰がやりやすいとかじゃなくて、とにかく動きが違うから、前日の練習で組む相手がわかったら、そこから一緒にビデオ見て、話をしてって......一夜漬けですよ(笑)」

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