ヤクルト山田哲人が明かすトリプルスリーの真実 一番しんどいのは打率? 本塁打? 盗塁? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

【トリプルスリーへの挑戦】

 2014年シーズンは、杉村コーチとの早出練習で「トリプルスリー」という言葉が聞こえてきた。

「プロに入る前から『トリプルスリーを狙っていけ』『そういう選手になってくれ』と、高校の監督から言われていたので、頭のなかにはありました。ただ、それがどんなものかというイメージはまったくできていませんでした。トリプルスリーがモチベーションになったのは、2014年のシーズンが終わってからでしたね」

2015年 打率.329/38本塁打/34盗塁
2016年 打率.304/38本塁打/30盗塁
2018年 打率.315/34本塁打/33盗塁

 山田は「5年目に入った時に明確な目標にしました」と、2015年に早くもトリプルスリーを達成。しかも、本塁打王と盗塁王の同時タイトルを獲得した史上初の選手になり、翌年には史上初のトリプルスリー複数回達成。2018年には3度目のトリプルスリーを決めた。

 トリプルスリーを達成することの難しさについて、山田はこう話す。

「いやー、しんどかったですね(笑)。そもそもどんなものかわからなかったですし、相手とも戦いますが、自分とも戦わなくてはいけない。やっぱり疲れますね。なかでも盗塁が一番きつい。体に負担がかかりますし、僕は内野手ということで運動量も多いですし、そこが自分との戦いというか......」

 そして山田は、3度トリプルスリーのなかでは「2016年の30盗塁目はいまだに印象に残っています」と言った。

「30盗塁目って、数字は相手にも伝わっていますし、めちゃめちゃ警戒してくるんですよ。絶対に走ってくるとわかっているので、ウエストしてきますし、ピッチャーもすごいクイックをしてくるので難しかったですね」

 ちなみに、山田の盗塁術については、2019年に当時DeNAの今永昇太(現・カブス)の言葉がじつに興味深い。

「盗塁してくる選手というのは、走りそうな雰囲気があったりするんですけど、山田選手は本当に走ってくる雰囲気がゼロなんです。塁上ではふわーっとした感じで、リードも特別大きくないですし、表情もオーラもすべてゼロ。僕からすれば、それこそ"幽霊"です(笑)」

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