2020.05.24

ブライアントがアンビリーバブルな一発。
西武に連勝→近鉄を逆転Vに導いた

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

 2打席連続ホームランで郭をマウンドから引きずり下ろしたブライアントが、リリーフの渡辺から放ったこの一発は、絶対王者の西武を粉砕する"ノックアウトパンチ"になった。

 6-5で逆転勝ちした近鉄の勢いを、西武の投手陣は次の試合で止めることができなかった。20分のインターバルを置いて行なわれたダブルヘッダーの第2試合は、初回に近鉄が2点を先取。3回にはブライアントの4打数連続ホームラン(1打席目は敬遠)で追加点を挙げ、4、5回にも3点ずつ加点して勝利を呼び込んだ。

 その2日後の10月14日。近鉄は地元の藤井寺球場で福岡ダイエーホークスを5-2で下し、球団史上3回目のリーグ優勝を決め、仰木彬監督が宙に舞った。

"スキのない野球"が身上の西武を、"破天荒"な近鉄の野球が打ち破ったシーズンだった。西武とのダブルヘッダーで4本塁打を放ったブライアントは、当時をこう振り返る。

「西武が近鉄とは違ったチームカラーを持っていることはわかっていた。ブルーとホワイトのユニフォームを見るたびに、『やっぱりチャンピオンチームだな』と思ったものだよ。だから、絶対に倒したかった。

 あの時に考えていたのは『勝たなきゃいけない』ということだけ。負けたらすべてがムダになると思っていた。優勝をかけて西武と対戦するチャンスはめったにないから、絶対にモノにしないといけない、と。もちろん、その先もあったけど、西武に勝たないことには前に進めなかったからね」