ジャッジが語る大谷翔平の進化 ともに3冠王を目指しワールドシリーズでの再会へ

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

【ジャッジから見た大谷の進化】

「今季は大谷翔平とアーロン・ジャッジのどちらのほうがすごいと思うか?」

 2024年のオールスター直前、試合を放送するFOXのスポーツウェブサイトの識者ディベートでそんな議題が出された。

 それが象徴するように、現代のMLBにおける2大スターを挙げるとすれば、ドジャースの看板となった大谷翔平と、ヤンキースの主将でもあるアーロン・ジャッジになるだろう。東西の名門チームの顔であり、今季は三冠王も可能なペースで打ちまくるふたりは、オールスターが開催されたテキサス州アーリントンでもメディアや関係者に追いかけ回されることになった。

オールスターで豪快な一発を放った大谷 photo by Getty Imagesオールスターで豪快な一発を放った大谷 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る ほんの少し前までのオールスターでは、日本メディアが他のスター選手たちに大谷の印象を聞いて回る光景が恒例だった。しかし近年は、アメリカのメディアも"二刀流の怪物"に関する情報を必死に求めるようになった。今年のオールスターの前日、約45分間のメディアセッションで、ジャッジが各国のメディアから大谷について問われ続けていたのが印象的だった。

「(大谷が)毎日やっていることはとてつもない。トミー・ジョン手術からの回復中にもかかわらず、3割以上の打率を残し、本塁打、打点、盗塁でも好成績だ。すごいアスリートだし、このスポーツに多くをもたらしてくれる。

 三冠王を達成したら本当にすごいし、いずれ投手としてマウンドにも戻るのだろう。いつも特別なことをやるから、毎晩、彼のハイライトを見て楽しんでいるよ。(三冠王も)達成してほしいね」

 そう述べた時のジャッジの言葉と表情からは、自身と並び立つような存在の大谷へのリスペクトが滲んだ。

 ヤンキースの先代キャプテンだったデレック・ジーターほど極端ではないにせよ、32歳のジャッジは自らの業績について話すのを好まない選手だ。ただ、非常に思慮深く、自身以外のことはどんな話題にも丁寧な言葉を返してくれる"ジェントル・ジャイアント(紳士的な巨人)"。大谷について語るのは嫌いではないようで、今の大谷の打撃分析をお願いした際も冗舌だった。

1 / 3

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

【写真】 日本ハム「ファイターズガール」オーディション密着取材・フォトギャラリー

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る