ワールドシリーズ開幕。勝敗を分けるポイントはココだ! (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 対するカージナルスは、若い投手陣をずらりと揃えてきました。今シーズン最多勝(19勝)のアダム・ウェインライトは32歳ですが、2番手以降を見ると、リリーフから先発に転向したランス・リン(26歳)、メジャー2年目のジョー・ケリー(25歳)、そして今年マイナーからメジャーに昇格してナ・リーグチャンピオンシップシリーズMVPに輝いた新人マイケル・ワカ(22歳)と、若手ピッチャーを積極的に使っています。今シーズン終盤にクローザーに抜擢されたトレバー・ローゼンタールも23歳。今年のカージナルスはプレイオフメンバーの25人の中に、10人ものルーキーを加えてチームを構成しています。過去10年で4度ワールドシリーズに進出している常勝軍団だけに、大舞台でも大胆な若手の起用を見せてくれるのではないでしょうか。

 また、今回のワールドシリーズで一番の注目は、やはりア・リーグチャンピオンシップシリーズでMVPに輝いた上原浩治投手のピッチングでしょう。上原投手を軸としたレッドソックスのリリーフ陣は、プレイオフに入って抜群の成績を残しています。ディビジョンシリーズでは4試合で11イニング7安打2失点に抑え、1勝1敗・防御率1.64。さらにリーグチャンピオンシップシリーズでは6試合で2勝0敗、21イニングを16安打1失点に抑えて防御率0.43を記録しています。つまり、ポストシーズン10試合で、失点はわずか3点。まさに鉄壁のリリーフ陣です。

 中でも上原投手の成績は群を抜いています。9イニングを投げてフォアボールはゼロ。8試合で13個の三振を奪い、5セーブをマークしました。また、7月1日からワールドシリーズ直前のポストシーズンまで、上原投手の防御率はメジャー1位の0.37。161打数に対し、17安打しか許していません。しかも65個の三振を奪った一方、フォアボールは2個のみ。本当に信じられない数字を残しているのです。レッドソックスがリードした形で上原投手へと継投できれば、世界一の座もグッと近くなるでしょう。

 一方、打撃面から今回のカードを見るなら、両チームの野球スタイルの変化に注目すべきです。本来、レッドソックスは本拠地フェンウェイパークの特徴を生かして伝統的に打ちまくり、一方のカージナルスは機動力を生かして勝つスタイルでした。しかし今年は、レッドソックスが機動力を生かし、カージナルスが打ちまくるというスタイルに変化しているのです。

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