あの大阪桐蔭にも弱点あり。「勝ちパターン」に見る注目校の戦い方

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

 8月7日に開幕する第99回全国高校野球選手権。今大会の見どころについて、優勝候補に挙げられる強豪校をいつもとは別の視点で紹介したい。

 重視するのは、監督のスタイルだ。選手は毎年入れ替わるが、監督は変わらない。どんなサインを出して、どう采配するのか。基本的には、これらはすべて監督が責任を負っている。そこに監督の好みやカラーが出ないわけがない。過去の試合を振り返れば、監督の性格や、やりたい野球がおのずと浮かび上がってくる。

史上初となる2度目の春夏連覇に挑む大阪桐蔭史上初となる2度目の春夏連覇に挑む大阪桐蔭 まずは、史上初となる2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭。甲子園通算42勝8敗を誇る西谷浩一監督は、ファーストストライクから常にフルスイングすることを選手に求める。そのためか、先攻の方が分がよく21勝2敗。後攻では21勝6敗だ。先制点を挙げると29勝4敗と強いのは当然だが、大阪桐蔭が突出しているのは先制されても13勝4敗と強いこと。大阪桐蔭相手にリードして逃げる相手チームにかかる重圧の大きさを表している。

 また、番狂わせが起こりやすいと言われる初戦と決勝に強く、どちらも無敗(初戦13勝0敗、決勝4勝0敗)。まさに死角なしの絶対王者といえる。

 唯一の弱点といえるのは、守備面でビッグイニングをつくられることが多いこと。センバツでは2回戦の静岡戦で初回に6失点11対8で勝利)。今夏も大阪大会決勝の大冠戦で3回と9回の2度、4失点している(10対8で勝利)。

 今夏の大阪大会8試合で24失点は西谷監督になってからの甲子園出場チームでは最多(過去最多は森友哉が3年生時の7試合14失点)。チーム打率.399は西谷監督になってから2位(過去最高は平田良介が3年生時の.449)と打線は得点力抜群のため、春夏連覇へは守備時のビッグイニングの有無が大きなカギになるだろう。

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