2014.05.13

【新車のツボ78】
BMW X5試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 BMWのX5は世界のハイエンドSUVの1台だ。このX5でも、悪路性能はそれなりに高いが、それ以上に驚きなのは、この巨体車が小型スポーツカーのように軽快にビュンビュン曲がることである。

 この種の舗装路ですさまじくよく走る"高級オンロードSUV"の歴史は意外と新しい。元祖は1997年に出たトヨタの初代ハリアー(当時の海外名はレクサスRX)。ほぼ同時期にベンツからもMクラスが出たが、それ以上にマニアのツボをえぐったのは、少し遅れて2000年に登場した初代X5だった。X5のアイデアそのものは、ある意味でハリアーとMクラスのイイトコ取り。いわば二番煎じ。乗用車メカニズムを流用した中身と、悪路っぽさを徹底的に排除する発想はハリアーっぽかったし、BMWの宿敵ベンツがMクラスを出さなければ、X5も存在しなかった可能性は高い。

 ただ、トヨタやベンツとちがって、それまで"悪路"とか"ヨンク"といったイメージとはまったく無縁......どころか、スポーティカー専業ブランドの典型みたいなBMWが、SUVを手がけた衝撃は大きかった。しかも、自分たちの"舗装路専用"というイメージを逆手にとって、X5は前記のように、当時の物理的な常識では"ありえない!"というほかないほど超絶に速く、軽快で、そしてグリグリ曲がる走りを披露した。X5以降、あのポルシェまでもがSUVに参入して、現在のSUVの走りは、さらに"ありえない"レベルに進化している。X5以前と以後では、SUVの走りの概念は、間違いなく変わったのだ。

 昨年末に発売された最新X5は3世代目にあたるが、基本コンセプトは初代からずっと変わっていない。世代を追うごとにより大きく重くなっても、そのぶんは電子制御サスペンションや4WDシステムの進化で相殺して、「地球の重力はどこにいったの!?」といいたくなるブッ飛んだ走りは健在......どころかさらにスゴイことになっている。いやもう、最近のハイエンドSUVの技術は、完全にシロートの想像力を超えたところにいる。

 最新のX5には現時点で3種類のエンジンがあるが、オススメは圧倒的にディーゼル。欧州ではずいぶん前から、ガソリンより高級なエコエンジンとしてディーゼルが絶大な人気を誇る。マツダがディーゼル乗用車を手がけるようになってからは、ここ1~2年で、日本でもディーゼル人気がジワジワ上昇中......なのは、知っている人も多いはずだ。