2014.04.25

【新車のツボ77】
BMW i3試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文 text by
  • BMWジャパン●写真photo by BMW Japan

 i3は、あのBMWがゼロから新しく専用開発した電気自動車(以下EV)。一部のEV専業メーカーをのぞけば、既存の自動車メーカーが本格的に量産するEV専用車は、わが日本の日産リーフに続いて、世界2例目である。

 i3は車体構造もまったく新しい。下半身の土台がアルミで、それより上半身のボディ本体はいわゆる”カーボン”なのである。カーボン=炭素繊維強化樹脂とはゴルフクラブや釣り竿などに使われるアレであり、クルマの車体骨格に本格的に使われた例は、これまでF1などのレーシングカーや一部の少量生産スーパーカーにかぎられる。つまり、i3はEVとしては世界で2番目、そしてカーボンボディ車としては世界初の量産車なのだ。

 i3はご覧のようなハイトワゴンスタイルである。全幅こそドーンと広いが、全長は日本でいうコンパクトカーサイズ。前開きの小さなリアドアをもつ4人乗り。動力モーターが後ろにあって後輪駆動となるのが、前輪駆動のリーフともっとも大きく異なる点。EVではエンジン車のような大型ラジエターも不要なので、i3はフロント側にかさばるメカがなにもない。それを活かしたダッシュボードも超スリム。メーターやナビなどの視覚インターフェースがすべて薄型液晶のタブレット端末風となるのも、いかにも新しい。

 ほぼ無音に近い静かさなのに、アクセルを踏んだ瞬間からのけぞる強力な加速は、どのEVにも共通する走りのツボ。カーボンボディのi3はリーフより200kg近くも軽いので、瞬間的なダッシュ力は下っ腹がくすぐったくなる(これは男性特有の感覚らしいが)。しかも後輪駆動だから、後ろからドーンと蹴り上げられる加速感がまた独特である。

 アクセルをゆるめると今度は回生ブレーキ(従来の表現をすればエンジンブレーキ)がかかるのだが、i3のそれは、エンジン車の感覚で右足をスパッと離すと、身体にシートベルトが食い込むくらいに強力なのだ。i3をなめらかに走らせるには、右足をアクセルから片時も離さず、加速も減速も右足の繊細な操作でおこなう必要がある。かわりに、赤信号などで完全停止するとき以外は、ブレーキペダルに足を移す必要がほとんどない。BMWはこれを”ワンペダルドライブ”と名づけて意図的に押し出している。