日本シリーズの舞台裏で目撃した両チームの対照的な表情 (2ページ目)
それに対して楽天は、コーチ陣が驚くほど明るい。コーチの合図でダッシュする練習でも、選手たちを取材陣の方に向かせて、「誰でもいいから向こうの誰かを見て」と言ってから、選手の視界の端で手を開いてスタートの合図を出していました。もちろんフライングをするとやり直し。活気のある声を響かせながら選手もコーチもリラックスして楽しそうに練習をしていました。
楽天の選手たちにとって、今年は昨シーズンよりも長く大好きな野球ができて、なおかつ日本一を争う舞台ですから、誇りとともに楽しさも感じていたのではないでしょうか。
photo by Yamamoto Raita また、両監督の表情はそんな選手たちとは正反対。巨人の原監督は試合中、ベンチでワンプレイワンプレイに怒ったり喜んだり、感情をかなり表に出していました。第3戦の試合前、湿りがちの打線を鼓舞するために「あえて喜怒哀楽を出しているのですか?」と質問したところ、原監督は「自分はまだまだ未熟だから、そうやって感情が出てしまうんです」と笑っていました。
巨人は、1勝2敗で迎えた第4戦では、珍しくベンチ前に「盛り塩」をしていました。レギュラーシーズンを圧倒的な強さで勝ち上がってきた巨人でさえ、日本一になるために、できることはなんでもやるのだなと感じました。
一方、星野監督は、記者が囲んでも口を一文字に結んだままで、にこやかな表情を見せることはほとんどなし。東北の人たち誰もが期待を寄せる楽天。野球があるから明日を楽しく迎えられるという人や、楽天の勝利から元気をもらっている人もきっといると思います。その思いを背負っているからこそ、星野監督にはプレッシャーがあったはず。また、楽天という球団にとっても、星野監督自身にとっても初の日本一がかかっているということもあり、終始険しい表情でした。
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