「あまり調子がよくない」ながらも大本命の森田一郎が優勝 「想定外」の出遅れにも光った臨機応変さ (2ページ目)
先頭誘導選手が外れると、一気に小堀敢太(北海道・125期)が先頭に立ち、スピードアップ。そんななか、森田は阿部との並走で内側に包み込まれる状態になり、さらに後続の選手たちに抜かれてしまう。瞬く間に5番手まで後退。森田にとってこれは「想定外の展開」で、そこから抜け出そうとした際に「脚(力)を使ってしまった」という。
通常であれば、終盤の追い上げは苦しいところ。しかし森田は冷静だった。残り1周となったところで、阿部の後ろにピタリとついて順位を上げると、バックストレッチからさらに加速。第4コーナーでは外側を走行するも、「外並走は慣れているし、ここで踏んでも意味がないと思ったので、周りを見ながら走って、コーナーを抜けた直線から踏みなおした」と狙いどおりの1着を手にした。
レース後、森田は「今日は練習やローラーに乗った時に、あまり調子がよくないなと感じたから、臨機応変に対応して、今出せる力をすべて出そうと考えた」という。調子がいまいちであっても優勝をもぎ取ってしまうところが、森田のポテンシャルの高さの表われだ。ゴール線に向かって疾走する森田(1番車・白) photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る
漂う王者の風格
森田はナショナルBチームに所属していることもあり、将来の目標を問われた時には、常々「オリンピック出場」と語るが、目の前のレースや自身の立ち位置については、冷静に分析している。優勝会見で今後の目標について聞かれた時にも、地に足の着いたコメントを残した。
「自分はまくりが得意ですが、それだけだと戦えないと思いますので、自分の幅を広げるために、先行や長めのまくりを心がけたいです。そういうレースができることが課題。まだレースに慣れていなくて、明確な課題が出ていないので、しっかりとレースに慣れることから始めたいです」
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