「あまり調子がよくない」ながらも大本命の森田一郎が優勝 「想定外」の出遅れにも光った臨機応変さ
ルーキーシリーズプラスを制した森田一郎 Photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る
一目置かれる存在
選手たちが発走機についたあたりから冷たい雨が降り出し、選りすぐりの新人たちによって争われる「ルーキーシリーズプラス」は、波乱の展開を予感させた。しかしそんな不穏な空気を一掃したのが、大本命として注目を集めていた、森田一郎(埼玉・125期)だった。
10月29日(火)に東京オーヴァル京王閣(東京都)で、このルーキーシリーズプラスが開催された。これは「大阪・関西万博協賛 京王閣競輪場開設75周年記念『ゴールドカップレース』(GⅢ)」のなかの最終日に組まれた単発のレースで、5月初旬から4回にわたって開催された新人選手たちによるレース「ルーキーシリーズ2024」の優勝者と競走成績上位者が出場できるファン注目のレースだ。
対象の選手たちは、今年3月に日本競輪選手養成所を卒業した125期生。すでにS級2班やA級2班に特別昇班した選手がいたり、ナショナルチームで練習している選手がいたりと、実力は折り紙付きの新人たちだ。
前述の森田は、そのなかでも特に優れた成績を残してきた。3月の卒業記念レースを制すと、5月のルーキーシリーズ2024平塚開催で優勝を果たした。さらに7月の本デビュー後、翌8月から18連勝を飾って125期で唯一S級選手となった。養成所時代からナショナルBチームにも所属しているなど、デビュー前から一目置かれる存在だった。
調子がいまいちでも優勝
レースは前述のとおり、森田の実力が際立つ結果となった。「単騎(※)で叩き合いになると思ったので、前々にいようと思いました」と言うように、森田がスタートから先頭を走った。すぐ後ろには同じくナショナルBチームの阿部英斗(福岡・125期)、3番手にはルーキーシリーズ函館開催を制した川上隆義(栃木・125期)が並んだ。
※単騎:選手同士が連携しながらレースを展開する「ライン」に対し、誰とも連携せず、ひとりで組み立てたり、単独で走行したりすること
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