今から「Amazon」をつくるのは難しい 高校野球部生が学ぶ新規ビジネスのあり方 (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【「人を動かす」と「自分が動く」】

奥野「そうだね。『世の中の人たちが何に困っていて、どういうビジネスだったらひょっとして受け入れられるのではないか』という話はまた後ですることにして、ひとまず知っておいたほうがいいことは、世の中にはどのようなビジネスがあって、君たちがどういうビジネスと働き方を選択するのかということだと思うんだ。

 ここでは2種類のビジネスのあり方を紹介しよう。

 第一のビジネスとしては、自分は動かずに人を動かして、人に稼いでもらう方法がある。いわゆるプラットフォーマーとか、マッチングビジネスがこれに該当する。たとえば一方に野球を教えてもらいたい人がいて、もう一方に野球を教えられる人がいる。この両者をマッチングさせるんだ。そして、両者の間に入ったプラットフォーマーは野球を教えてもらいたいという人から手数料を取ったりする。

 第二のビジネスは、自分自身の付加価値を高めるのと同時に、自分が動いて稼ぐ方法だね。自分は野球を教えることができる。前回、それだけで仕事になるかどうかは疑わしいという話をしたけど、それに加えて英語もできて、栄養士の資格も持っているとしたら、選手の海外移籍の相談や栄養面の相談にも乗ることができる。このように自分自身に付加価値があれば、野球を教えてもらいたいという人と直接契約を結んで、自分で直接教えることができる。

 ただ、こういうビジネスにはひとつ問題があって、それは『営業ができるかどうか』ということなんだ。どれだけ野球好きで、技術があり、かつさまざまな付加価値を備えているとしても、肝心の自分を売り込む営業力がなかったら、仕事はいつまでも来ないよね。野球に限らず、そういう個人や企業は多いと思う。

 逆に言えば、だからこそ第一のプラットフォーマーが重宝される。

『自分で動いて稼ぐ人』でも、たとえばプラットフォーマーに、『私は野球を教えられる人です』ということで登録しておけば、登録者リストを見て、野球を教えてもらいたいという人が、きっと君たちを見つけてくれると思うんだ。これなら営業で苦労しなくて済む。ただしその代わりに、プラットフォーマーにガッツリ手数料を中抜きされるから、相当に頑張らないと収益が上がらない。どれもこれも一長一短。現実は厳しいね」

由紀「そうなると、やはり手数料を中抜きできるプラットフォーマーになるのが一番いい感じがしますね」
鈴木「確かにプラットフォーマーならどんどん儲かるような気がする。僕、プラットフォーマーになります!」

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