箱根駅伝 早稲田大の総合4位は「うれしい、ではなく、悔しい」 来季以降の頂点獲りへ臙脂軍団が復活の狼煙 (2ページ目)
【4年生の頑張りが今季の成長に】
今季の早大は試合を重ねるごとに力を発揮してきた。とはいえ、花田監督が"9割"というように、今回の箱根駅伝でも取りこぼしがあったのも事実だ。
今回の総合タイムは10時間50分57秒。条件がよかったとはいえ、チームの過去最高タイムを4分24秒も更新した。だが、花田監督が想定していた総合タイムは10時間46分から50分だ。「1区がスローペースだったことを考えれば、ほぼ想定どおり」というが、わずかに届かなかった。
往路に関しては、むしろ「想定よりもよいぐらい」だったと言う。
「1区の間瀬田(純平、3年)がいい出だしでした。2区の山口智規(3年)は少し気負いもありましたが、(前半から飛び出して)ハイペースに持ち込んだことで、崩れたチームもあったと思います。4区の長屋(匡起、2年)も無難につないでくれましたし、3区の(山口)竣平(1年)と5区の工藤(慎作、2年)が非常によい走りをしてくれました」
ルーキーの山口竣平の3区3位の活躍や"山の名探偵"工藤が5区2位(区間歴代3位の1時間09分31秒)の快走を見せ、往路は3位。しかも、3強と目されていた駒澤大と國學院大に先着し、"3強崩し"に向けて最高の形で往路を終えた。
一方で、復路は想定していたタイムよりも3分以上遅かった。
「他大学が崩れてたまたま3位に上がった部分もありました。うちも7区、8区、9区は区間5番、悪くても一ケタ台を想定して送り出したんですけど、そこがうまくいかなかった。彼らの調子自体は上がっていましたが、それぞれプレッシャー等もあり、練習からすると7割、8割ぐらいでしたね」
7区を走った主将の伊藤は、実は12月に入ってから調子がガクンと落ちていたという。
「5000mのインターバルでも、最後の1000mは3分かかったり、距離走でも(1km)4分まで落ちてしまうことがありました。今まで経験したことのない不調で、正直、走れるかなって思っていました」
伊藤は、こう振り返る。2週間ぐらい前から調子が上昇し、出走にこぎつけた。そんな状況でも無難にまとめたのはさすがだったが、エース級の選手だけに、本来求められた役目を果たせたわけではなかった。
3年連続8区の伊福陽太(4年)は、ウォーミングアップ時に体調に不安を感じたという。報告を受けた花田監督は、シード圏外まで落ちることも覚悟した。前回から約1分遅く、快走とはいかなかったが、区間11位で走りきった。
9区の石塚陽士(4年)は、今シーズンは不調が続き、出雲も全日本も欠場していた。それでも、12月頭の日体大競技会10000mでは自分でペースメイクして28分台で走りきり、その後は調子が上向き、「全日本を走れず悔しい思いをして、そこから立て直してきた。だいぶ戻ってきていて、この1年の中では一番良い状態だった」と花田監督は起用に踏みきった。國學院大の上原琉翔(3年)に追いつかれたあと、ラスト3kmでは意地を見せて鶴見中継所には先着したが、区間15位と苦しい走りになった。
宮岡凜太(3年)や吉倉ナヤブ直希(1年)もかなり状態がよかったといい、花田監督はこの3区間のメンバー起用について「最後までどうしようかと悩みました」と言う。
「チーム状況が悪い時に私が就任し、最初に大志を呼んで『お前がキャプテンになった時に優勝を目指せるチームにしような』っていう話をしていました。石塚たちも同じ気持ちでやってきていて、私自身、彼らにかけようと思いました。起用したのは私ですので、私の責任だと思っています。
4位が悔しいと言えるようなチームになったのは、今の4年生の頑張りが大きい。彼らには感謝したい」
最後に調子を上げてきた4年生の意地にかけたのは、決して温情からではなく、根拠があっての起用だった。
昨年末の全日本高校駅伝1区で快走を見せた鈴木はスケールの大きなランナー photo by Wada Satoshi
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