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【箱根駅伝2025】中野マジックなるか 「日本一諦めの悪いチーム」帝京大は充実の陣容で上位勢に挑む

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

トラックシーズンからチームを牽引する帝京大のエース・山中 photo by SportsPressJP/AFLOトラックシーズンからチームを牽引する帝京大のエース・山中 photo by SportsPressJP/AFLO

1月2日・3日に行なわれる第101回箱根駅伝(217.1km/往路107.5km・復路109.6km)。
過去10大会で5年連続を含む7度のシード権を獲得してきた帝京大が地力を上げてきている。春先から他校のエースと伍してきた主将の山中博生(4年)を筆頭に、多彩な区間配置が可能な戦力は魅力十分。チームのキャッチフレーズ「日本一諦(あきら)めの悪いチーム」の精神が息づくなか、上位校に割って入る潜在能力を秘めている。

【好調の駅伝シーズンと箱根3位の難易度】

 前回大会は、7区から9区まで区間一ケタ順位でつなぎ(2位、8位、3位)復路6位と、往路12位から浮上して総合9位に入った帝京大。前々回大会では13位に終わり、連続シードが5年で途切れ予選会からの出場となったものの、持ち前のしたたかさを見せて1年でシード権を再奪取した。

 迎えた今季は出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに8位と安定。特に全日本は区間4位以内が3名と存在感を発揮して、4年ぶりのシード権も獲得した。中野孝行監督はふたつの駅伝を振り返り、手応えを感じている。

「出雲は途中から流れを変えることが難しいレースなので、前半から強い選手を置きましたが、全日本は後半に長い区間がふたつあり、3区間でレースのほぼ半分近い距離。だから6区の楠岡由浩(2年)で反撃し、7区と8区はしっかり順位を固めるために安定感のある4年生を置きました。特に7区の福田翔は1区タイプで本来なら前半に使ってもよかったんですが、逆にどこでも走れることを確認できました。出雲でもアンカーに使って単独でも走れたことあり、全日本でより確信を持てた、というのがありました」

 箱根に向け、選手たちが掲げる目標は総合3位だが、中野監督は年末までの取り組みを重視する。

「本当に目標順位を決めるのは12月29日(区間エントリー締切日)。戦力は変わるし、ほかのチームが伸びるか、うちがどれだけ伸びるか、基準がないなかで目標順位を立てるのはナンセンスです。それよりも、今持っている力をどこまでためられるかということのほうが重要だと思います」

 そして、こうもつけ加える。

「選手たちは出雲や全日本でも『過去最高』という言葉を口にしていたし、箱根も3位というけど『そう、簡単ではないよね』と言っています。3位とはどういうチームかといえば、國學院大も駒澤大も青山学院大も優勝を目指している。さらに早稲田大や前回3位の城西大も、4位の東洋大もいる。

 優勝候補に勝たないと3位にはなれないし簡単ではないが、お前たちが本当に本気だったら自分たちでやりなさい、と。

 ただ、全日本では3区から5区で順位を落として11位まで下がりましたけど、今までだったら、よくても(最終順位は)9位か10位だったはず。でも今回は攻めて、攻めての8番だった。

 6区の楠岡も最後は離されて悔しがっていたけど、10km過ぎまでは攻めに攻めていた。7区の福田も8区の小林(大晟、4年)も、一切守らずに攻めていた。それでいいんだ、こういうことができるようになったんだという勇気を持たせてくれたのかなと思います」

 ただ、現実を考えれば、前回9位だったとはいえ、後ろには中央大もいて大東文化大もいる。全日本には出場しなかった前回6位の法政大も、箱根に向けて着実に準備しているはずだ。ほかのチームも力をつけてきているなか、「シード権を確実に取るためには、4~5位はいける手応えを持って臨まなければいけない」と中野監督は言う。

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著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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