箱根駅伝V候補、東海大で懸念された「長距離への不安」が解消された
東海大・駅伝戦記 第17回
東海大学が箱根駅伝で初優勝するためのキーマンとして、両角速(もろずみ・はやし)監督が名前を挙げているのが、切り込み隊長である阪口竜平(りょうへい/2年)だ。
今シーズン、阪口が新たな自分のヴェールを脱いだのが、6月に行なわれた個人選手権大会での5000mだった。有力選手が揃うなか、14分02秒64で優勝した。それまでは阪口自ら引っ張っていくレース展開が主だったが、この時はラストまで相手についていき、最後に振り切るという、いつもと違う勝ち方を見せたのだ。
両角監督の期待も大きい阪口竜平 また、7月の網走でのホクレン・ディスタンスチャレンジの3000mSC(障害)では、高校2年以来の出場ながら8分37秒64の2位となり、自己ベスト、東海大記録を更新した。
さらに9月の全日本インカレでは關颯人(せき・はやと/2年)や鬼塚翔太(2年)ら、同じアメリカ合宿組が時差ボケと疲労の影響でタイムが伸びないなか、5000mでレダマ・キサイサ(桜美林大)やパトリック・ワンブィ(日大)ら留学生相手に一歩も引かない強気のレースを見せ、13分47秒85で3位に入った。これまで心身がきつくなると引いてしまうことがあったが、このときは留学生に最後まで粘り強くついていくしぶとさがあった。
「阪口は、ひと皮剥けた感がありますね」
西出仁明(のりあき)コーチは、そう言って満足そうな笑みを浮かべた。
駅伝シーズン開戦前夜、阪口への期待は大きく膨らんでいたのである。
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