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女子ボートレーサー・守屋美穂の強さの源泉は自信のなさ? メモを取る理由、オッズを見ない意味も語る

  • 杉田純●取材・文 text by Sugita Jun

17年半のキャリアを持つ守屋美穂 photo by Ishikawa Takao17年半のキャリアを持つ守屋美穂 photo by Ishikawa Takaoこの記事に関連する写真を見る守屋美穂インタビュー 前編

【女子レーサーをけん引する存在】

 だれもが躍動する、スポーツ――。

 これはボートレースが掲げている2025年のキャッチコピーである。「だれもが」が意味するところは、男でも女でも、若手でもベテランでも同じ条件のもとに直接レースでぶつかり合う、ということだ。

 とくに女子ボートレーサーは注目の的だ。多くの競技が男女別で行なわれるなか、ボートレースは男女がほぼ同じ土俵で戦い、女子が強豪男子レーサーを破るシーンも珍しくない。華やかでありながら、男子に負けない強さを兼ね備える。女子ボートレーサーにそんなイメージを抱く人は多いのではないだろうか。

 その女子ボートレーサーの中心を担い続けているのが守屋美穂だ。2007年にデビューして以来、約17年半のキャリアで優勝は通算39回。グレード戦はGⅡを4回制覇しており、そのうち1回は男女混合戦でつかんだ栄冠だ。

 そんな輝かしい実績を持ち、今なお安定した強さを誇る守屋だが「(自分に)自信は全然ないです。どこにもないです」と、イメージとは裏腹な言葉を口にした。

【意外な素顔】

 守屋がボートレーサーを志したのは、父親に勧められたのがきっかけだった。当時の守屋はギャンブルの経験はもちろん、スポーツの経験すらなかった。普通ならピンとこない提案のはずだが......。

「ボートレース児島が本当に身近にあったので、親も気軽に勧めてきたんじゃないかなと思います。(自分も)イベントでペアボートに乗せてもらっていたりもしたので、レーサーを目指すことに抵抗はなかったです」

 と、すんなりと目標が決まったことを振り返った。

 ボートレーサーになるためには、ボートレーサー養成所(守屋の在籍当時は「やまと競艇学校」)を卒業しなければならない。入所試験は倍率数十倍とも言われる難関だが、守屋は2度目のチャレンジで合格。故郷を離れ、1年間ボートレーサーになるためだけの修行の日々を過ごすこととなる。

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