世界王者になった桃田賢斗。圧倒的だった強さの要因は「心の成長」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AP/AFLO

「精神的に苦しかったのは、3回戦でアンダース・アントンセン選手(デンマーク・第16シード)と戦った試合でした。腹筋のことが気になって強打できない自分にモヤモヤしました。第1ゲームはリズムをつかめずに取られてしまい、第2ゲームも前半で苦しくて心が折れそうになりました......。でも、そこで気持ちを持ち直して、強打は打てなくても、長いラリーで気持ちを切らさずに戦えたので、そこは成長できたところかなと思います」

 第1ゲーム、桃田は9-14から5連続得点を奪われて13-21で落とす。第2ゲームは中盤までシーソーゲームになったが、13-12から4連続得点で抜け出して勝利。第3ゲームも取って勝ち上がった。

 そこからは、危なげない試合運びで、準決勝では、出だしこそ0-5とリードされたが、相手の決め球をレシーブしてミスを誘い、6連続得点で逆転すると、そのまま逃げ切って21-16。第2ゲームも安定した守りで21-5と圧倒した。

 決勝の相手は、今年の全英オープンを制している石宇奇(世界ランキング3位)。今大会は北京五輪金で世界選手権5回優勝の林丹(中国)と、五輪王者で世界選手権2回優勝の諶龍に勝って調子を上げてきていた。開催地である南京の会場は、彼を応援するホームの大声援に包まれた。

 桃田は「決勝は名前を呼ばれた時にアウェーだなと感じたし、自分が緊張しているのもわかりました。自分が勝ちたがっているというのもすごくわかったのですが、それを楽しみながら試合をすることができました」と振り返る。

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