【月刊・白鵬】復活V狙う横綱が、九州場所で気になる「2人の力士」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 というのも私は、地方巡業に出て、全国各地のファンの方々と間近に触れ合うことは、大切な「横綱の務め」だと考えています。ゆえにこれまでも、多少無理してでも、その任務はきちんと果たそうと思ってきました。だいたい、ひとり横綱だった期間も長かったですし、日馬富士や鶴竜が横綱に昇進してからも、彼らが巡業期間中を負傷の治療に充てることが多かったので、「私だけは、絶対に休めない」という気持ちが強かったですね。

 また最近は、巡業の日数が長くなったこともあるのでしょうが、十両以上の関取衆で巡業を休む力士が増加。その分、割り(取組)も少なくなっていて、トップに立つ者としては、かなりの危機感を持っていました。だから今回、巡業に出られない間は本当にやきもきしていましたし、合流できたときには心底ホッとしました。

 巡業では力士だけでなく、同じ相撲協会の一員である、行司さんや呼び出しさん、髷(まげ)を結ってくれる床山さんなど、裏方の人たちとも一緒にいろいろな土地に行きます。そうすると、普段では見られないような"顔"が見えたりして、とても楽しいものです。

 それに、さまざまタイプの力士と肌を合わせることができますし、自分は稽古ができなくても、周りの力士たちはどんな稽古をして、今どんな状態なのか、じっくり観察できます。つまり、巡業は"発見の宝庫"なんです。そういうこともあって、私は巡業に対する思い入れが強いのかもしれません。

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