「勝って当然」を勝った宇野昌磨が、全日本で手にした貴重な経験値 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 後半に入ってからの4回転トーループは両足着氷になってセカンドをつけられなかったが、そこからのジャンプをコンビネーションにしてカバー。192・36点を獲得して合計280・41点で全日本初優勝を決めた。

優勝は宇野(中央)、2位に田中刑事(左)、3位に無良(右)だった優勝は宇野(中央)、2位に田中刑事(左)、3位に無良(右)だった 宇野本人は意識していなかったと言うが、今回は勝つことを義務づけられた戦いだったといえる。「やるぞ! という気持ちは出せたんじゃないかと思う」と言うように、まさに気持ちで乗り切った演技だった。

「自分ではプレッシャーを感じていないと思っていましたけど、ショートが終わったあと、周りからスピードが出ていなかったといわれたので、フリーでは最初からスピードを出すことを意識しました。全日本初優勝を果たしましたが、それで自信がついたというよりも、自信をなくした方が強いというか、今回は自分のメンタルの弱さを気づかせてもらえた。あまりいい演技ではなかったですが、タイトルを獲れたことはすごくうれしいです。課題としてきたことをこの大舞台でひとつできたこともすごくうれしかった」

 こう言う宇野は、「すごく体調がいいときに気持ちをマッチさせるのは難しいと思いました。ジュニアの時は勢いだけでやっていけるけど、シニアになったときはそこが一番苦労する点だと思いますし、今回それを痛感しました。トップの選手はその調整がすごくうまいので本当に尊敬していますし、僕も早くそれができるようにしたいと思います」とこの大会を振り返った。

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