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小川直也が語る今の日本柔道界。
若手ホープに期待も、重量級には喝! (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

──リオで金メダルを獲得したベイカー茉秋がケガで代表を辞退したこともあり、90kg級は選手を派遣しませんが、100kg超級は全日本選手権を制した王子谷剛志とリオで銀メダルに輝いた原沢久喜のふたりが選出されました。3年後の東京五輪に向けて、重量級の代表争いは熾烈になっているように感じます。

「熾烈なのかなあ。昔の柔道界は、全日本選手権を9連覇した山下泰裕先生や、7回の優勝を誇る俺のように(笑)、柔道界の顔となるような絶対王者がいた。絶対王者がいて、それに食らいついていこうという選手が何人かいる図式だったのが、最近は全日本でも毎年のように優勝者が変わる。切磋琢磨する中で、世界選手権や五輪に出る選手が世界チャンピオンになるなら頼もしいことだけど、現実はそうじゃない。重量級の覇権を握っているのはフランスのテディ・リネールだし、彼を倒せる選手を育てなきゃいけないね。

 今年の全日本を制した王子谷は、東京五輪に向けて抜け出た感はあるけど、3回目の優勝なのに決勝は反則勝ち。あれじゃあ、今年の大会を観戦に来てくれた人が、来年も足を運んでくれるか分からない。全日本の王者は横綱。横綱が優勝決定戦で肩透かしで勝ったりしたら、観客はブーイングですよ。俺の頃は、投げて勝っても、新聞のコラムで山下先生に批判されたんだから(笑)」

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