パリオリンピック女子バレー 古賀紗理那も「チグハグだった」と振り返った、日本が発揮できなかった強化ポイント

  • 坂口功将●文 text by Sakaguchi Kosuke

【パリ五輪出場のための戦略とチームの強化】

 花の都で夢、敗れる。パリ五輪に挑んだバレーボールの女子日本代表は、現地時間8月3日にプール戦最後のケニア戦を勝利したものの、1勝2敗で決勝トーナメント進出は叶わず。9位で大会を去ることになった。

主将として最後までチームをけん引した古賀紗理那 photo by JMPA主将として最後までチームをけん引した古賀紗理那 photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る

 東京五輪後、眞鍋政義監督を指揮官に据えてスタートした女子日本代表。眞鍋監督といえば、日本を2012年ロンドン五輪で銅メダルに導いた実績を持つ策士だ。始動に際してパリ五輪でのメダル獲得を目標に掲げ、そこに向けて明確な道筋を立てた。

 まずは新たなオリンピックサイクルが始まった2022年、眞鍋監督は2024年に照準を合わせつつも、初年度のネーションズリーグでは他国が主力選手の休養や新戦力の起用を施すなか、現有戦力を据えて勝ち星を優先させた。

 というのも、パリ五輪の出場権獲得プロセスは従来と異なり、2023年の予選で突破するか、それがかなわなかった場合は2024年ネーションズリーグ予選ラウンド終了時の世界ランキング上位チームに付与される、というものだったからだ。そのため、常に世界ランキングで上位につけておくことが必須となったのである。

 そうして世界ランキングを一気にアップさせることから手を打ち、同時にチームづくりを進めた。

 一方で世界を見渡せば、イタリアやセルビア、トルコのように強力なオポジットを擁する国が結果を出しており、女子バレーボール界は"大砲至上主義"が支配した。その点において日本が及ばないのは明白だったが、伝統の高いディフェンス力はベースとして変わらず、サーブの強化と、高速バックアタックを絡めたオフェンスを仕掛けることで勝機を見出していく。2023年のパリ五輪予選(ワールドカップ)では、トルコやブラジルに敗れはしたものの、競り合いを演じた。

 そして2024年を迎え、パリ五輪の切符をかけたネーションズリーグでは、世界ランキング上位を維持して出場権を獲得。準決勝ではブラジルを下し、これには眞鍋監督も「なかなか勝つのは難しいと思っていましたが、(前年の)予選で味わった悔しい思いをこの半年間継続して、それをぶつけてくれました。特に終盤の勝負強さが身についたと感じています」と選手をたたえた。

 そのネーションズリーグでは女子日本代表として初の準優勝に輝き、パリ五輪でのメダル獲得に再び照準を合わせ、本番を迎えたのである。

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