パリオリンピック女子バレー、初戦に黒星 巻き返すための古賀紗理那の「答え」とは?
7月28日、パリ南アリーナ。パリオリンピック女子バレーボール1次リーグで、世界ランキング7位の日本は、同4位のポーランドとの初戦に挑んでいる。結果から言えば、1-3の黒星だった。敗因はいくつかあるだろうが、強豪を打ちのめすだけの力が足りなかったのだ。
「メダル」
2012年ロンドン五輪以来の目標を掲げたチームにとって、勝たないと厳しい道のりになることはわかっていた。次は同1位のブラジルとの対戦。先月のネーションズリーグ準決勝では見事に撃破したが、簡単な相手ではない。
「厳しいスタートになりましたが、ベスト8に入るには次のブラジル戦が大きなカギになると思います」
眞鍋政義監督はポーランド戦後に語っているが、早くも正念場を迎えた。彼女たちは次のステージにたどり着くため、いかに戦うべきか?
やはり、エースである古賀紗理那の存在から紐解くべきなのだろう。
敗れたポーランド戦で両国最多の26得点を挙げた古賀紗理那 photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る ポーランド戦、熱を帯びた会場では場内アナウンスが吠えていた。
「Sarina Nishida!」
夫の姓で名前が呼ばれるのは、どんな心境なのか。ユニフォームには、「Koga」と刻まれていた。それが長年、人生をかけてきたバレーボール界での彼女の"称号"だ。日本の女子バレーを牽引してきた矜持は、半端ではない。すでに大会後の引退も発表して挑む。集大成の戦いだ。
古賀はその覚悟を示すように、1セット目からチームを引っ張った。最多得点を記録し、25-20で先取した。バックアタックは豪快だった。猛禽類のような羽ばたきから、全身の力を使って右腕を振り、立ち塞がる敵を撃ち抜いた。
「私たちの初戦ということで、入りのところはよかったんですけど......」
古賀は言うが、2セット目は22-25、3セット目は23-25と、僅差ながらたて続けに落とした。チームとして、ブロックの上から打ち込まれ、レシーブが届かない。攻撃もやや空回り。序盤は完全に不調で、中盤に強度を高めて挽回するも、最後には力尽きる、というように、セットを戦うなかで波が激しかった。
1 / 3
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。