河村勇輝は「アメリカのバスケに慣れることが優先事項」 NBAグリズリーズの番記者が占う今季

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

河村勇輝のNBA挑戦1年目は、まずはGリーグで腕を磨くことが予想される photo by Getty Images河村勇輝のNBA挑戦1年目は、まずはGリーグで腕を磨くことが予想される photo by Getty Images

 メンフィス・グリズリーズと無保証のエグジビット10契約を結んだ河村勇輝(23歳)がまずは順調な形でNBAへの挑戦をスタートさせている。横浜ビー・コルセアーズ、日本代表の司令塔として活躍して来たポイントガードは、世界最高のバスケットボールリーグでもプレシーズン4戦に出場。ここまで平均16.9分のプレーで4.3得点、4.8アシストとまずまずの数字を残してきた。ノールックパスを頻繁に繰り出すプレースタイルは魅力たっぷりで、実際のインパクトはスタッツが示す以上という印象もある。

 そんな河村のリアルな現状を知るため、地元紙『メンフィス・コマーシャル・アピール』のグリズリーズ番記者、ダマイケル・コール氏に意見を求めた。

 まもなく開幕する今季のグリズリーズの展望は? 河村自身が向かうべき方向性とは? 地元記者の言葉からは、チームが何を期待して河村を獲得したかも見えてくる。

【チームの目標はウェスタン5〜6位】

 昨シーズンは故障者続出で厳しいシーズンを過ごしたグリズリーズですが、主力が復帰してきた今シーズンは再び多くのタレントを誇るチームに戻った印象があります。

 ジャ・モラント、デズモンド・ベーン、ジャレン・ジャクソンJr.というトリオは非常に才能に恵まれた中軸選手。マーカス・スマートはディフェンスとリーダーシップに秀でたベテランであり、ルーキーのザック・イディーも将来が楽しみな有望株です。ベンチにも得点力、守備力、シュート力のある選手がおり、層の厚さは悪くはありません。

 今季はタイラー・ジェンキンスHCの指導下でまた新しいオフェンスのスタイルを導入しようとしており、それが定着するには少し時間はかかるのかもしれません。まだ途上におり、シーズンを通じて仕上げていくことになるのでしょう。それらが目論みどおりにいけば、いいシーズンを過ごせるのではないかと考えます。

 現実的なレギュラーシーズンの目標はウェスタン・カンファレンスの5、6位くらいで、そこからポストシーズンに進んでどれだけ先に進めるかが勝負。レギュラーシーズン7〜10位のチームがポストシーズン進出をかけて戦うプレイイン・トーナメントではなく、ウェスタンのトップ6に入るくらいの戦力はあると見ています。

 ポストシーズンでももちろん上位進出を目指して戦うのでしょうが、具体的には2シーズン前には果たせなかったプレーオフ第2ラウンド進出が現実的な目標になるのではないかと、現時点では考えています。

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著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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