【F1】小林可夢偉が分析するザウバーのニューマシンの特性 (2ページ目)
昨年のザウバーにとって、もうひとつの弱点が予選のパフォーマンス不足だった。その理由は、ブロウンディフューザーの不利に加えて、タイヤの温まりが決して良くはなかったこと。ザウバーのクルマはタイヤに優しい反面、予選の1周で素早くタイヤに熱を入れてグリップを引き出すことを苦手としていたのだ。
今年の新車C31では、その対策がしっかりと練られているという。チーフデザイナーのマット・モリスはこう説明する。
「C31では、新規定の中で最大限のパフォーマンスを引き出すために、新たなアプローチをした。マシンのほとんどは刷新して、旧型車から引き継いだパーツはほとんどないよ。
最も重点を置いたのは予選パフォーマンスの向上で、そのためにリアサスペンションを一新し、タイヤへの優しさは維持しつつも、セットアップの柔軟性を高めたんだ。そこが去年の我々のウォームアップ問題の原因のひとつであったことは間違いないからね。フェラーリ製の新型カーボン製ギアボックスでリアは非常にコンパクトになったが、そこにマウントするリアサスペンションはザウバーの独自設計だ」
そして、タイヤの変化もザウバーと可夢偉にとってはプラスに働きそうだ。タイヤが柔らかくなる今季は、タイヤをうまく使いこなすことがこれまで以上に重要になる。その点に優れており、ピットストップ回数を少なくすることができるザウバーにとっては、そのタイヤマネジメントが大きな武器になるだろう。
「コンパウンドが柔らかくなるのは、僕らにとって良いことですね。元々レースペースは良いわけだから、その上でピット回数を減らせれば僕らにとってはアドバンテージになります」
そんな追い風だらけの中で、可夢偉は発表直後のニューマシンをプロモーション撮影用に走らせ、基本的なシステム確認を行なった。
「初日の滑り出してとしてはスムーズな1日でした」
7日からは、シーズン開幕に向けて本格的なテストが始まった。ほとんどのチームがそうであるように、ザウバーも開幕までに大幅なアップデートを施しマシンを進化させる予定だ。
テストは、3月の開幕戦・オーストラリアGPまで3回にわたって行なわれる。やるべきことはまだまだ山積みだが、可夢偉とザウバーと我々ファンにとって非常に楽しみな1カ月間になりそうだ。
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