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レアル復帰で「神通力」は通用するか 「モウリーニョを演じる」モウリーニョの劇場型マネジメント (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【「選手の気持ちとシンクロする能力」】

 ペペはもともと温厚で知的な選手なのだが、癇癪(かんしゃく)持ちだっただけに、一度我を失うと手がつけられなくなるところがあり、モウリーニョという触媒により、感情の抑制を外されてしまったようだった。ペペは次第にカードをもらうことが増え、退場も珍しくなくなった。その攻撃性は完全に暴力へと変化していた。モウリーニョの"催眠"に深くかかってしまったのかもしれない。

 モウリーニョの勝利への執念は、暴力をも正当化するようになっていた。その荒っぽさがペペだけでなく、多くの選手にも現れるようになった。ファビオ・コエントラン、アルバロ・アルベロアなど、ディフェンスには顕著だった。2011-12シーズンは、ラ・リーガで優勝を飾っているにもかかわらず、ラフプレーが増加したことで評判は最悪だった。

「マドリディスモ(マドリード主義)にふさわしくない!」

 OBや古くからのソシオ(クラブの会員)も、下品な戦いを続けるモウリーニョを敬遠するようになっていた。やがて、フロレンティーノ・ペレス会長も距離を置くようになり、2012-13シーズン限りでの退任が決まった。

 当時、レアル・マドリードの中盤を操っていたMFシャビ・アロンソ(現チェルシー監督)は、以下のように語っていた。

「モウリーニョは世間でいろいろ言われるが、選手の気持ちとシンクロする能力には驚かされた。彼が伝える言葉を選手は信頼することができたし、それはすばらしいことだった」

 モウリーニョが優れたリーダーだったことは間違いない。しかし、いつからかリーダーを演じるようになっていたのではないか。自らが作り出した劇場の主役になって、自らが役を演じるように戦い続けた。モウリーニョという役を演じる自分を励まし、覇気を漲(みなぎ)らせて集団を率いていた。監督はひどいプレッシャーにさらされる職務だけに、あるいは演じることによって思いきった采配ができたのかもしれない。

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