南野拓実はモナコを全体4位に。チャンピオンズリーグ出場の日本人8人の活躍度を個別評価

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki

 チャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第3節。日本人選手で先発を飾ったのは南野拓実(モナコ)、旗手怜央、前田大然(ともにセルティック)、上田綺世(フェイエノールト)、荻原拓也(ディナモ・ザグレブ)の5人。交代出場は古橋亨梧(セルティック)、守田英正(スポルティング)、チェイス・アンリ(シュツットガルト)の3人で、ベンチ入りしたものの遠藤航(リバプール)出番なしだった。

 得点者は2人。ツルヴェナ・ズヴェズダ(レッドスター・ベオグラード)とのホーム戦で2ゴールをマークした南野と、ベンフィカ戦で1ゴールをマークした上田だ。

 まず南野。ポジションは4-2-3-1の1トップ下で、相手ボールに転じると4-4-2の2トップとして最前線に立つ。マイボールに転じても中盤に下がらず、高い位置に留まることが多い。4-2-3-1の1トップ下といえば、タイプはMF色が強い選手とFW色が強い選手に2分されるが、これまでの南野はどちらかと言えばMF的だった。2シャドーの一角でプレーする現在の日本代表でもMF色のほうが強い。それがモナコではFW色のほうが勝っている。1トップ下と言うより1トップ脇。具体的にはパスを出すプレーより受けるプレーのほうが多い。

ツルヴェナ・ズヴェズダ戦で2ゴールを決めた南野拓実(モナコ) photo by Reuter/AFLOツルヴェナ・ズヴェズダ戦で2ゴールを決めた南野拓実(モナコ) photo by Reuter/AFLOこの記事に関連する写真を見る 加えて"嫌らしさ"も増している。神出鬼没。前半20分にマークした先制点のシーンがそうだった。オフサイド崩れ、相手の戻り遅れと言ってしまえばそれまでだが、最前線に居留まったポジショニングに、モナコでの南野の実像が見て取れる。試合を決定づける2点目も同様に高い位置を取っていた産物だった。アシストは1トップ、ブレール・エンボロ(スイス代表)で、それを脇で構えた南野が蹴り込む格好だった。

 南野は採点するなら10点満点で8。モナコは5-1で勝利を飾り、通算成績を2勝1分け(勝ち点7)として、ランキングを36チーム中4位に上げた。

 ベンフィカとアウェー戦を戦った上田も、南野に負けじと2ゴールを叩き出したが、2点目となるはずだったゴールはVARの結果、別の場所で反則があったため、無情にも取り消しになった。先制点となった上田の得点は左ウイング、イゴール・パイシャオン(U-23ブラジル代表)の折り返しを中央で合わせてもの。幻の得点となったプレーも、左からの折り返しをゴール前で詰めるという、似たような形だった。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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