【Jリーグ】「日本のスパイ」と呼ばれて...韓国人Jリーガー第1号・盧廷潤が人知れず抱えていた葛藤 (4ページ目)
【同胞たちの希望の轍となった】
金鎮鉉は2009年に、黄錫鎬は2012年に、鄭成龍と金眠泰は2015年以降に来日している。すでに多くの韓国人選手がJリーグでプレーしており、Jリーグへ行くことへの拒絶反応はなくなっていた。彼らを受け入れる日本側の環境も、十分に整っている。
1999年にC大阪へ戻ってきた盧が、こんな話をしている。自分の運命を呪うわけでなく、誰かを羨(うらや)むわけでもなく、澄んだ瞳で。
「僕が最初に日本へ行った時とは違って、今来ている人たちはみんな『愛国者』と呼ばれます。みんな幸せだなって思いますよ」
2025年のJリーグでも、多くの韓国人選手がプレーしている。日本でプロとしてのキャリアをスタートさせる大卒選手もいる。
盧が苦しみながら刻んだ足跡は、同胞たちの希望の轍(わだち)となったのだ。
著者プロフィール
戸塚 啓 (とつか・けい)
スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専
門誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より 7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグ ワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本 サッカー』(小学館)
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