西大伍は鹿島の8年間で「突き抜けた自信」まで備えた「いかにサッカーを楽しめるか」を追求

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

ベテランプレーヤーの矜持
~彼らが「現役」にこだわるワケ
第6回:西大伍(いわてグルージャ盛岡)/前編

今季でプロ19年目となる西大伍今季でプロ19年目となる西大伍この記事に関連する写真を見る 寸分たりとも自分の才能を疑わずに生きてきた。心に留めてきたのは、いかにサッカーを楽しめるか、だけ。

「どんな時も、自分のサッカーだけは裏切りたくない」

 その真っすぐさが時に誤解されてしまうこともあるが、気にしない。自分の人生――どんな時も、一番サッカーを楽しめると思う方法を追求する。人にどう思われても構わない。自分を信じて、生きたいように生きる。気がつけばプロキャリアは19年目。

「歩いてきた道を、自分の力で正解にする」

 その揺るぎない、信念のもとに――。

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「サッカー人生でピークと言っても過言ではないくらい、サッカーが楽しくて仕方がなかった」

 いわてグルージャ盛岡での2シーズン目を迎えている西大伍がそう振り返るのは、北海道コンサドーレ札幌でプロキャリアをスタートするより前の話だ。

 クラブからは「トップチームには昇格できない」と伝えられていたなかで戦った、高校3年生時の高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権。札幌U-18の主軸のひとりとして、西はチームをクラブ史上初の決勝進出に導く。結果的に東京ヴェルディユースに逆転負けを喫して準優勝に終わったものの、そこでの活躍がトップチームのスタッフの目に留まり、プロへの道が拓けた。

「昇格できないとわかった時点で、気持ちを切り替えて大学からプロを目指そうと思っていたので、高円宮杯を(昇格のための)最後のアピールチャンスとは考えていなかったです。ただ、あの時の僕はサッカー人生で一番うまかった(笑)。そして、今になって振り返ってもあの時が一番、心からサッカーが大好きでした。毎日、起きている間はサッカーのことばかり考えていて、ボールを蹴りたくて寝るのも惜しい、みたいな。

 当時はトップ下でプレーすることが多かったので、家に帰っても毎日、ずっとビデオでカカやロナウジーニョのプレーを観ていました。スパイクもカカと同じのを履いて、練習ではビデオで観たプレーを何回も真似して......ってやっていたら、本当にプレーが似てくるんですよ。

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