超攻撃的なジェフ千葉が失速。元アルゼンチン代表の「野心」が空回り (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO SPORTS

 昨季までJ1だった湘南は、戦術的完成度の差を見せつけた。千葉の攻めのリズムをつかみ、(3ラインを作って)城門を分厚く固め、パスミスを誘発させ、次第に巻き返していった。

「90分間で見ると、(これまでの試合は)波があって受け止められないことがあったが、今日はやるべきことを整理してゲームプラン通りだった」(湘南の曺貴裁監督)

 そして31分、湘南は右サイドの奥深くでボールをキープし、戻したボールをダイレクトで中に入れ、ニアでFWジネイが触って先制した。

「1人の選手に対し、3人でいっているのに、取り切れていない」

 エスナイデルは顔をしかめて言った。ボールをキープした相手選手を2人で挟み込み、もう1人も食いついたが、簡単にパスを出された。それは数的な破綻だった。

「我々はもっとアグレッシブに挑むべきだろう。ポゼッションはできたかもしれないが、それだけだった。(コーチングエリアで声を荒らげていたのは)攻撃のやり方やコースが正しくなく、ボールを落ち着かせられたらダメージを与えられるのにできなかったからだ」

 AMBICION(野心)。

 エスナイデルはその言葉を強調したが、野心はピッチで空転していた。結局、その後は攻めきれないままエネルギーを消耗。後半76分には甘くなった守備から裏を走られて2失点目を喫し、万事休す。最後は冒頭のような有様だった。

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