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【Jリーグ】序盤戦、「チーム刷新」の明暗が分かれた理由 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

「今年は監督が変わり、ディフェンスが要求されるようになった。中盤の選手も、DFラインをどうサポートすれば失点しないのか。そういう意識が芽生えてきている」

 C大阪と言えば、ドイツ・ブンデスリーガへ渡った香川真司や乾貴士に象徴されるように、これまでは奔放な攻撃が売りだった。

 だが、そんな攻撃志向のチームも今年、足かけ5年指揮を執ったレヴィー・クルピ監督から、セルジオ・ソアレス監督へと指揮官が交代。主に守備面で色付けされたことによって、戦いぶりには安定感が増した。

 4月7日の大宮戦でも特に前半、相手にボールを保持され、押し込まれる時間帯が少なくなかった。だが、慌てることなくソアレス監督は「右サイドバックの酒本(憲幸)が守備で手を焼いていたので、ボランチの山口(蛍)がサポートをするように」と指示。後半は、指揮官自らが「完璧な守備をしてくれた」と振り返るほどの内容で、大宮を圧倒した。

 また、攻撃志向のチームに、新監督が守備意識というプラスアルファをもたらした点では、広島も同様だ。

 昨年までの広島は、個人能力頼りの大雑把な守備しかできずに大量失点する試合が少なくなかった。しかし、こちらも足かけ6年指揮を執ったミハイロ・ペトロヴィッチ監督から、森保一監督へと指揮官が交代。すると新監督は、5-4-1で守備ブロックを形成する組織的な守備戦術を持ち込んだ。

 その結果、ここまでの5試合で失点数は3。これはC大阪らと並ぶ、J1最少タイの数字である。ボランチを務める青山敏弘は、「監督が言うのは、攻撃のための守備だということ。鋭いカウンターの精度を上げれば、もっと守備が生きるはず」と言いつつも、こう話す。

「(守備の)ブロックを作ると、相手はチャンスを作れなくなる。はっきりとした守備を、ブレずにやれているという手応えはある」

 新たなステップへと踏み出すべく、「刷新」を選択したC大阪と広島。不振にあえぐ鹿島とG大阪を尻目に、C大阪は3勝1分け1敗の5位、広島は4勝1敗の2位と、ともに好位置につける。

「刷新」がもたらすのは、リスクばかりではない。両クラブの戦いぶりは、そのことをはっきりと証明しているのではないだろうか。

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